1.《ネタバレ》 自分にとって初のアルゼンチン映画となったのですが、アルゼンチンにこんな素敵な映画があったなんて知りませんでした。
映画の舞台がアルゼンチンというだけでなく、作った人までもが同国の人であるとしたら、まだまだもっと良い映画監督や作品が埋もれているかも知れないですね。
トータル的なストーリーはとても良かったのですが、カルロスは幼馴染みのテレサがいたにもかかわらず途中からドリーナのことを好きになっていったみたいで、この心移りに至る過程が描かれていなかったり、また他にも、最後の方でカルロスが飛行機に乗り込む時に見送りに来た人が一瞬先に起こりうる出来事を仄めかしてしまうのですが、ここでほんのひと言呟いてしまうシーンを入れたばかりに、その後に悲劇が起こることが読めてしまうので、ここの部分は完全に失敗だったと思います。
多少、心情を描く部分で粗さが出ていたり、もったいない箇所があったりと、細かい所では気になってしまうようなことがあるのですが、それを打ち消してしまうくらい良かったのが、テレサのカルロスを想う気持ちでしょう。カルロスの友人であるペドロと結婚することになっていた所で偶然にカルロスに再会してしまった時のあの胸の痛さといったらもう、如何ほどかというところですし、さらに、その後に自宅のラジオから流れるカルロスの歌声に聞き入る時の表情を見ても非常に感慨深いものがあり、エンディングのテレサの庭のシーンでは涙が出てきそうでした。
幼少期から青年期への時間の経過をカルロスが窓からテレサを呼ぶシーンで表していたのが、最後のシーンでも効果的に用いられていて、涙腺をくすぐるのが上手いなぁと最後は特にしみじみと見入ってしまいました。