1.《ネタバレ》 若松孝二の特集上映をやってる映画館で「ついで」で見たものでなんの前知識も無く見ました。最初は重度身体障害者のドキュメンタリーなのかなと。それにしちゃ、えらくノワールっぽいなと。途中からリアルがリアルのまま非日常の世界に変わってゆく。その様に驚いた。介護者がパンクボーカリストということで随所にこのパンクが流れる。短いカット割りも相まってミュージッククリップ風なのがちょいと残念な気もするんだけど、ノワール臭を発散させる主人公(実際の重度身体障害者)の強力な牽引で強烈な犯罪映画に仕上がっている。実際の身体障害者が演じているということや身体障害者が殺人を犯すという衝撃的な内容が一宣伝で終わっていない(ちなみに私はこの宣伝を見ずに映画を見ている)。どうして人が人を殺すのか。その人が身体障害者であったっていいじゃないか。むしろなにがしかの障害を持って生活をしている人のほうが健常者よりなにかとてつもない爆弾を抱えて生きているかもしれないではないか。はたまた生まれ持っての殺人鬼がたまたま障害を持って生まれたにすぎないのかもしれない。とにかくこの主人公、みごとに一人の鬼畜となっている。同情を寄せ付ける隙は無い。一人の障害者であるまえに一人の殺人鬼である。それを演じた住田雅清が素晴らしい。