1.《ネタバレ》 石井隆監督のエロスとバイオレンスの世界。
竹中直人もよかったが、大竹しのぶの演技力はさすが。
目的のために人を殺すことにためらいを感じない家族と、それに振り回された人のいい男。
サイコな家族のどす黒さが、男の純真さを際立たせる。
仕方なく犯行に加担していたかのようにも見えたレンだが、三人の中で一番狂っていたことが露わになっていく。
あどけない少女をモンスターに育ててしまった鬼畜父との陰惨な過去が痛々しい。
佐藤寛子は一番難しい役どころで、その狂気を演じるには力不足の感は否めない。
クライマックスでの長~いモノローグシーンを一人でもたせるには、それこそ大竹しのぶ並の演技力と存在感を備えていなければ無理。
それができる若手女優がどれだけいるかと考えても、すぐには思いつかない。
ただ、佐藤寛子は足りないながらもグラビア出身らしい抜群のプロポーションを惜しげもなく晒す熱演でカバーしていた。
ラストの男と女刑事の食卓シーンは、陰惨な物語の救いになってくれる。
その食卓シーンに流れるエンドロールの東風万智子って誰かと思えば、真中瞳が改名していたことを初めて知った。