2.ミュージカルシーンに映画を感じたのは、
大野いとの『夢は夜ひらく』と、安藤サクラの『また逢う日まで』。
動きのとれないトイレ個室内での歩調と、
大野の決して上手くない歌がシュールでいい。
雨に濡れた夜の歩道を走る安藤の躍動と笑顔、そしてそれを追う横移動のカメラがいい。
武井咲も斎藤工も、
一青窈・市村正親コンビの達者な身のこなしなどと比較してしまうと可哀相だが、
シンプルな振付と頻繁なカットつなぎにも助けられて健闘している。
そのミュージカルの少し硬い感じが逆に味となって後半のドラマに活きており、
特にこの二人がそれぞれ違うシチュエーションで土下座をして
必死に懇願するシーンではその熱演と表情が一気に輝き出して素晴らしい。
ただ、妻夫木聡のワイドショー番組的な安っぽい突っ込み台詞の数々は
もう少し工夫が欲しかったところ。