1.《ネタバレ》 この映画単体で見れば、モンスター映画としてかなり面白かった。あの映画をそのままリメイクしてもあの演出には絶対に勝てないし、後日談では収集がつかなかったであろう。前作に勝てないからこそ、前作に敬意を払って似たようなシチュエーションで映像的には
スケールアップした前日譚にしたのは、最も賢い選択だったと思う。自分のようなおじさん世代としては結果は分かりきっているのだが、若い人にはかなり楽しめるのではないかと思う。
そもそもカーペンターの演出では、「物体」が現れる前から登場人物は特に仲が良いわけでもなく、確執もあるような雰囲気が後々疑心暗鬼として効いてくる所が優れているのだが、この映画は怪物が現われる前にホラー映画定番のパーティやっちゃったりして、普通にホラー映画です。
音楽も前作のシンプルなモリコーネの曲が絶妙に恐いのだが、まあ、音楽も普通のホラー映画です。
あの円盤の中は見せないからこそ想像力をかきたてて恐いと思うのですが、そこまで見せちゃう所は普通のハリウッド映画です。
前作よりも警戒心なくホイホイ物体に変化しちゃうのは、「物体」が前作ほど人間を学習していないからだと好意的に見ましょう。
前作に愛情があるからこそ限りなくつっこみたくなるのですが、おじさん世代は進化した特撮を楽しみ、似たようなシチュエーションを懐かしむのが良いのではないかと思います。そもそもカーペンターのような映画はカーペンターにしか作れませんから。
前作を知らなければ、かなり面白いと思います。
なにより作っているスタッフが前作を愛しているのが如実に感じられました。