2.《ネタバレ》 生まれてくる環境は選べない。どんな境遇でも生きていかなければならない。
とにかく生きて、というメッセージは伝わりました。
性と生。
この切り離せないものにより深く関る、産む性である女性の多様さに比べて、登場する男性は「ふがいない」奴ばかり。
高校生の斉藤と福田は仕方ないです。何だかんだいってもまだ子どもですから。
でも、彼らの父親は不在。家事育児の助けにならなどころか経済的支援もできない。
徹底的に父親という存在をなくすことで、男の子たちが自力で自立していくしかない境遇を作り上げています。
対照的な二人。
斉藤は助産師の母の手伝いをすることで、新しい命の誕生に立ち会うこともある。
福田は家出して男と暮らしてる母親から生活全般丸投げされ痴呆の祖母まで押し付けられてる。
でも、ふがいないからこそ踏ん張って奮闘して生きていかないといけないんですね。
だから、結局何もできないまま布団被って引きこもってただけの斉藤も、最後は自分からアンズの不在を受け入れ学校へ行くし、福田も僻んでばかりじゃ何も始まらないと悟って受験勉強始める。
不妊については、何故妻側だけが責められるのか。体外受精も辛いのは女性だけ。
孫欲しさに常軌を逸していく義母は怖かったです。
この生活環境があるので、最初はアンズにとって斉藤はアニメの理想の男に似てる非日常を楽しむ存在だったけど、次第に斉藤との情事が心の支えになっていくのに説得力がありました。