6.《ネタバレ》 『悪の法則』を見たときは、麻薬組織のあまりの残酷さに数日ショックを引きずったものだけど、本作を見て、あれ? 『悪の法則』ともしかして、逆?『悪の法則』では、ワルのメインキャラたちが、神出鬼没で現れるメキシコの麻薬組織に追い詰められ、次々と悲惨な目に遭わされる。本作はコロンビアの組織を相手に、たった1人の女性が透明人間のように神出鬼没で現れ、大暴れ。どこから降ってわくかしれない敵というのは、確かにハンパなく怖い。愛する身内を殺されて、鬱憤ばらしのようにマシンガンをバリバリ打ちまくっているカトレアを見て、不覚にも、「か・い・か・ん・・・」と往年のセリフが脳裡で聞こえた。女性が男性並みに闘うときは、体を回転させて遠心力を利用するんだなあ。男性はそんなアクションなしでパンチを繰り出せるから、女性は相手以上に素早く動かなきゃ大変だ。(それにしても、あんなに激しく股間に蹴りを入れられて倒れ込まない男っているの?)ラストの死闘はなかなか迫力があって楽しめた。
ともかく『ニキータ』『レオン』とほぼ同じフォーマットで話が進んでいたので、細かい矛盾点は気にせず、割り切ってカトレアの復讐劇をシンプルに楽しんだ。
小さなカトレアを追う男たちのバイクにある「HONDA」の文字が何度も映り込んでいたし、エミリオが殴りダコのある大きな手で姪っ子を抱き寄せるシーンが印象的だった。3分署のシャーリの顔芸も面白かったし、人の不幸は他人事という連鎖も皮肉たっぷりだ。カトレアの身内の不幸を淡々と聞いていたFBIは、自分の身内を脅されて初めて動揺し、FBIの悩みを歯牙にもかけなかったCIAは自身の命を狙われて、初めて怯える。この一連の流れは人間心理のさもしさを見せつける。
で、ストーリーが終わった。エンドロールが長々と流れる。それをぼうっと見ていたら、supplier(小道具供給者)の文字が。テクニカル・ビークルとか、ボディガード(!)、ユニフォームレンタル、スカルプチュア・ワークショップ(シャーリの付け爪ってここから来たのかな)、フィルム・ストックはコダックだって。そのうち、「ディレクター一同、感謝申し上げます」という言葉が流れて来て、撮影に協力したホテル名やフランス、アメリカ各大使館などの紹介が続く。そこへ、「SPECIAL THANKS TO」という言葉が上がってきて、私たち日本人にはなじみのある「HONDA」のロゴマークがでかでかと!!! それもエンドロールのほぼラストのタイミングで来た。映画は製作年が2011年だというし、このサプライズはすごく嬉しい。