5.《ネタバレ》 なんてことのない手垢のついたようなストーリーなんだけど、泣けてくる。
親子というのは人間関係の最も基盤となるもの。
誰にでも思い当たる経験の中での普遍的なものに訴えかけてくるからだろう。
テレビを集中して見たいのに、空気を読まずに話しかけてくる母親のうざったさ。
個人的に思い入れのあるものを勝手な判断でゴミとして捨ててしまう無神経さ。
本気で何度も腹を立てて怒鳴った覚えがあるが、全然懲りずに同じことを繰り返すのが子供心に理解できなかった。
当時は嫌がらせでもしているのかとずいぶん憤ったが、今思い返すと、呆れると同時にかわいそうになってくる。
親のうざったい行為は死ぬまで変わらない。
変わるのは子の受け止め方だけ。
子はいつか自分の親にも若い時代があったという当たり前のことに思い至る。
夢があり、挫折があり、恋をし、子供を産む。
親の昔の写真を見て、何ら自分たちと変わらない一人の人間であることに気づく。
そうして初めて子(自分)を育てる親に思いを重ね、親としてダメな部分、不満な部分も飲み込めるようになる。
それが、ガキから大人になるということなのだろう。
掘北真希は良かったが、余貴美子がうざったい母親を演じ切れていない。
一般人の母親はもっと小汚くくたびれていて色気がないが、やっぱりそこはキレイ系の女優なので芸能人オーラが抑えても漏れ出てしまう。
もっとうざったくて頭にくるような本物のババア感を出さないと、リアルな切なさが生きてこない。