15.貧しい農村の中でひときわ輝く清楚な美少女の中に、苺を食べるシーンや口笛の練習のシーンで強調された唇の描写で女を映し出してゆく。はるか昔のことを「異教の時代」と言うこの作品はキリスト教世界に被われている。そしてその世界が一人の女を悲劇へと導く。牧師の要らぬ一言が悲劇の発端となり、私生児には洗礼を受けることが許されないだとか秘密を持った結婚は許されないだとかという戒律に、またその戒律に従う信仰心に翻弄されて悲劇の道を転がり落ちてゆく。エンジェルがテスの告白を受け入れることができなかったのは、単なる嫉妬心以上にキリスト教世界の中で生きているという大前提があったからではなかろうか。宗教でもなく合理主義でもなく愛を選んだテスが行きつくところがストーンヘンジという異教の遺跡というのが皮肉である。太陽を神と崇める石の遺跡の前で太陽が昇る前に連行されてゆくというのも二重の皮肉だ。幸薄いヒロインを演じたナスターシャ・キンスキーの純朴な中にも意志の強さを漂わせる瞳が印象的。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-04-20 16:35:44) (良:2票) |
14.トーマス・ハーディの原作小説をポランスキーが映画化、ということで原作にはかなり忠実に作っています。19世紀イギリスの美しい風景、そしてヒロインをN・キンスキーが演じている事が原作の雰囲気を十分に伝える事に成功していると思います。原作の名シーンもしっかりおさえてありますし。結局、彼女にとって一番の悲劇は自分が貴族の一族だった、ということではないでしょうか。ただ、原作に比べて惜しい、と思うところは妹のライザの存在がまったくと言っていいほど無視されている事。原作ではテスが最後ストーン・ヘンジでエンジェルに死後、彼女と結婚するよう頼む貴重なシーンがあったのです。それともう一つはエンジェルの苦悩のシーンがないこと。あれがないせいで、この映画は原作を知っている私にとってもエンジェルがよけい身勝手なだけに思えてしまいました。ラストもどうせならエンジェルが義理の妹のライザと去っていくシーンで終わったほうがよかったです。そういうことで、評価は7点にしときます。 【マイカルシネマ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2004-10-24 10:44:35) (良:1票) |
13.冒頭、演奏と踊りの一団を延々と定点で捉える長回しのど迫力で、掴みはOK。その後も、じわじわと進んでいきながら、そして主たる登場人物は3人しかいないのに、決してダレないし、単調に陥らない。様々な風景のインパクトとか、ナスターシャ・キンスキーの凜とした美貌とかのアドバンテージはあるにしても、やはり、行き着くところは、一つ一つのステップの描写が丁寧だということでしょう(一方で、省略できるところはどんどん省略しています)。3時間クラスにふさわしい重量感ある内容を持った作品です。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-10-11 01:19:42) |
12.《ネタバレ》 類まれなる美貌の持ち主「超美人」というのはある意味罪作りな存在。異性を惹きつけて止まないのだ。恋愛の対象、欲望の対象、嫉妬の対象として情念の渦に巻き込まれてしまう。金持ちですけこましのアレックにしつこく追い回される主人公テスの様子は気の毒そのもの。拒絶できればよいが、父が怠惰な貧農で、弟妹たちの面倒を見てやらなければならないという負い目、足枷がある。結局強姦めいたことになり、アレックスの情婦となる。そんな生活に嫌気がさして逃げ出すが、お腹には新たな生命が宿っていた。赤子は短命に終るが、私生児故に洗礼も受けられず、教会墓地に埋葬も許されない。アレックスに何も知らせず、赤子を自分で育てるところに、気高く自立した女の側面がみれる。新たな働き先の農場で初めての恋をするが、相手はよりによって牧師の息子エンジェルで、厳格なキリスト教上の足枷がある。求婚されたとき、過去を告白した手紙を渡そうとするが、行き違いとなる。結婚後、彼女の過去を知ったエンジェルは痛撃を受けて、家を出てしまう。彼女も実家に帰るが、父が死亡して借家を追い出される。やむなくアレックスの援助を請うて、再び情婦に。そこへのこのこ妻の過去を許して受容できるようになった夫が迎えに訪れて、悲劇が起る。惨劇の場面は省略されるが、主人公の生きざまを赤裸々に描くのが作品の主旨であり、非常に不自然。逃亡する二人はストーンヘンジで逮捕されるが、これは興味深い。ストーンヘンジはキリスト教以前の古代遺跡で、太陽の運行など天文に関係する施設で、夏至には特定の石柱の間から太陽が昇る。彼女の魂が救済され、再生するためには、キリスト教という足枷のない場所が必要だった。朝日が石柱から昇りはじめる象徴的な場面で映画は終る。◆せっかく「自立する女」「紆余曲折を経て辿り着いた真実の愛」を描いても、殺人、絞首刑で終わっては後味が悪すぎる。彼女の不幸や悲運が心にもたれ、うまく消化できない。夫役の男優に魅力がなく、彼女と釣り合わないのも難点。監督は主演のナタキン15歳のときより性関係を持っていたというから、アレックスと被って見える。性的に早熟になった彼女は、その後恋多き女として浮名を流すことになる。それでも輝き続けるナタキンはテスそのもの。監督の妻が殺害され、一方で少女への淫行疑惑の十字架を背負うという人生も意味深なものだ。やはり美貌が罪を呼ぶのだろうか。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-09-11 13:11:28) |
11.映像美やナスターシャ・キンスキーの美しさは文句の付け所がないが、映画自体も堂々とした作品である。主人公テスの生き方にはついてはあまり好きにはなれないが、運命に逆らってまでも愛を貫こうという姿には何か強く惹かれるものがある。その点では少しばかり風と共に去りぬのスカーレットと共通するのかもしれない。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-07-20 22:07:30) |
10.可もなく不可もなくといった作品。ポランスキー監督の美しい画面とキンスキーの美貌に酔いしれましたが原作の完成度があまりに高いので損をしている映画作品の一つと言えるでしょう。キンスキーのようにちょっとキツめの美女ではなくてボケっとした感じのかわいい女優さんのほうがストーリーに合うのでは等々口出ししたくなるのはどうしようもありません。文学作品の中の美女のイメージは読者それぞれによって異なるので映画化しないほうがいいという極論まで唱えたくなるのですが、その点に関してこの作品には原作から独立したクリエイティビティーがあまり感じられず、点数もちょっと辛目です。美しい映像に免じてオマケ込みの以下の点数を献上。 【かわまり】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-07-15 09:07:40) |
9.《ネタバレ》 まったく退屈することなく3時間。さすがポランスキー。冒頭に「シャロン・テートに捧ぐ」ってあるから、余計に凍ってしまう。ああ、ポランスキーはこの美貌の少女の不幸な生涯を、チャールズ・マンソン一味に殺害された自分の妻に重ね合わせていたのだね。 【いのうえ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-15 23:04:35) |
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8.美人は得だ、というのは必ずしも真ならず、という映画ですね。話自体は悲惨極まりないのに、見ていて暗さをあまり感じなかったのは、それでもやっぱりナスターシャ・キンスキーの美しさによるものでしょうか。それにしてもエンジェル、迎えに来るのが遅すぎるよ(怒)。 【すねこすり】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-03-25 00:32:32) |
7.重いテーマですが、主人公のナスターシャと映像が美しい。運命の哀しさも良く描かれていた。男のずるさにも困ったもんだ。 【ボビーK】さん 7点(2004-02-15 00:32:06) |
6.ナスターシャ・キンスキーの美貌だけが印象に残った。 【アクア】さん 7点(2003-12-25 01:10:25) |
5.時代が時代とはいえ、女性の立場の弱さに腹が立つ!でも美貌ゆえに不幸へ転がっていくヒロインの運命に引き込まれた。ナターシャの美しいこと!一大悲劇ロマン、ポランスキー監督の力作です。 【キリコ】さん 7点(2003-05-10 22:35:49) |
4.映画館で見た。と思う。何歳の時かも忘れているのに、主人公の美しさと切なさとダンスシーンの音楽が頭に残っていた。去年のいつだったか、深夜、テレビで見た。やっぱり美しくて、非常にやるせなくて、男ってものに、この時代の女性の扱いに腹が立った。他人に薦める気は無いが、自分の中では高いランキングに入る。 【KIYOMI】さん 7点(2003-02-08 22:43:56) |
3.ナスターシャ・キンスキーの「美」と、田舎町の風景が良く溶け込んでいる。映像美を楽しむ映画でしょう。話の内容は、展開が突発的で、終わり方も劇的に作りすぎな感があり、映像が素晴らしいだけに首を傾げる。波瀾万丈を描くのではなく、前半でみせた貧しいながら、輝きを放つテスをもっと生かして欲しかった。 【ゆたKING】さん 7点(2003-02-08 10:33:31) |
2.ナスターシャ・キンスキーが一番輝いていた頃だと思う。えらいズルズルと長ったらしい映画のような印象もあるが、とにかくナスターシャが良く、気付いてみれば「この映画、一生終わらないでくれ!」と心で叫んでいる自分がいた(笑)。 【3Mouth】さん 7点(2002-05-14 18:34:24) |
【Meg】さん 7点(2002-04-18 20:01:54) |