6.《ネタバレ》 肝心な場面で協賛している会社の広告がデカデカと映り込むのがかなり興ざめです。クライマックスでカメラのピントがあの生命保険会社の看板にバッチリあって、それからピントをずらしているので明らかに「強調」しています。「ここで宣伝かよ!」と思わせるのはやめてほしいものです。
でも映画はとてもよかった。原作のメッセージ性、その面白さが十二分に受け継がれていました。
その面白さの理由のひとつが、認知症の方の行動を明るく笑えるギャグにしていることです。
認知症は一度発症してしまうと、その症状は悪化をしていくか、よくても横ばいになるだけで、奇麗に治ったりするものではありません。
実際に認知症の行動で悩まされている方にとって、そのことはとても重く、苦しいものでしょう。
「認知症の行動を笑いに変えるなんて不謹慎だ」と思われる方もいるかもしれません。
しかし本作にそんな心配は無用です。
「勘違い」や「誇張」などのコメディのツボはしっかりと押さえられています。
認知症によって起こる数々の事件、そのシチュエーションは気兼ねなく笑えます。
しかも原作よりもグレードアップしているギャグもありました。
原作を読んだ方には「あ、あのシーンだ」と思えますし、「こうくるか!」とより笑えると思います。
そして本作は、「ボケるのも、悪かことばかりじゃないかもしれん」というメッセージを送ってくれます。
それは決して強がりではなく、作品を通じて「そうかもしれないなあ」としみじみ思えるものです。
実際に認知症で苦しんでいる人にとって、どれほど勇気づけられることばでしょうか。
それだけで、この作品が好きになってしまうのです。