3.《ネタバレ》 「悪名」シリーズ第3作。前作のラストで戦争に行ってしまった朝吉(勝新太郎)が復員して八尾に帰ってくるところから始まっている。前作のラストでは戦死を予感させる終わり方だっただけに多少強引さも感じるが、1作目や2作目とは別物と割り切れば許せてしまう。田宮二郎も役柄を変えて再登場するが、双子の弟という設定なので不自然さがないのがいい。茶川一郎演じるオカマの登場など前2作と比べてコミカルなシーンが増えていて娯楽性が強くなっているのもこれはこれで良かった。勝新といえば座頭市のイメージが強すぎてなかなかこの「悪名」シリーズの本作以降の作品を見る気が起きずにいた(マキノ雅弘監督による「悪名一番勝負」だけは見ているが。)が、朝吉には座頭市とはまた違う魅力があるし、英語交じりの言葉を話す清次を演じる田宮二郎もほかの出演作では見せないようなコミカルな一面を見せていて新鮮だった。話としても勧善懲悪もので安心して見ていられる水準作といったところ。前作で結ばれた朝吉とお絹(中村玉緒)が別れてしまう展開は少しさびしいが、演じた二人は当時新婚ホヤホヤだったころで、それを考えるとよくこの脚本で二人とも出演OKしたなと思えてくるのだが、実生活では新婚夫婦の二人が映画の役柄上では別れる展開というのも本作の見どころのひとつなのかもしれない。タイトルは「新・悪名」だが、前作の続きでありながらタイトルどおり新しい展開を見せているところも面白かった。