1.《ネタバレ》 見応えはある、ドイツらしい骨太な映画。
ヒトラーを暗殺しなければ、自由は奪われ、多くの無辜の民が命を落とすことになる。
狂熱に駆られて実行した暗殺だが、死んだのはヒトラーではなく、まさしく無関係の無辜の民。
ゲシュタポに捕まり、そのことを知らされたゲオルグの落胆と絶望は、想像してあまりある。
ヒトラー暗殺をたった一人で企て、綿密な準備の末に実行した男にしては、その行動は身勝手で整合性に欠けるように見えるが、それが逆にリアリティを生んでいる。完全無欠の義憤に駆られたヒーローなんて、不健康だし、信用できない。
ゲオルグの人間らしさは、かえってナチの血の通わない機械のような残酷さを際立たせる効果を生んでいる。
佳作。