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ノクターナル・アニマルズ

[ノクターナルアニマルズ]
Nocturnal Animals
2016年上映時間:115分
平均点:6.38 / 10(Review 13人) (点数分布表示)
公開開始日(2017-11-03)
ドラマサスペンス犯罪ものミステリーロマンス小説の映画化
新規登録(2017-10-09)【皐月Goro】さん
タイトル情報更新(2023-08-12)【S&S】さん
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監督トム・フォード〔監督・デザイナー〕
キャストエイミー・アダムス(女優)スーザン・モロー
ジェイク・ギレンホール(男優)トニー・ヘイスティングス/エドワード・シェフィールド
マイケル・シャノン〔1974年生〕(男優)ボビー・アンディーズ
アーロン・テイラー=ジョンソン(男優)レイ・マーカス
アイラ・フィッシャー(女優)ローラ・ヘイスティングス
アーミー・ハマー(男優)ハットン・モロー
ローラ・リニー(女優)アン・サットン
アンドレア・ライズブロー(女優)アレシア
ジェナ・マローン(女優)セイジ・ロス
マイケル・シーン(男優)カルロス
脚本トム・フォード〔監督・デザイナー〕
撮影シーマス・マッガーヴェイ
製作トム・フォード〔監督・デザイナー〕
衣装アリアンヌ・フィリップス
あらすじ
アート・ディーラーとしての成功を得たものの、思い描いていた生活とどこか異なる現実に鬱々とした日々を過ごすスーザン。そんなある日、20年前に別れた前夫のエドワードから彼が執筆した小説「夜の獣たち」が送られて来る。彼女は、「スーザンに捧げる」とされているその小説にどこか惹かれ早速読み始めるのだったが、そこに綴られた物語は陰惨で絶望的なものだった。何故彼はこの作品を送って来たのか?理解に苦しみながらも読み進めるうちに、次第に物語と現実は交錯していき… 「シングルマン」(2009)を監督した世界的ファッションデザイナーのトム・フォードが、米作家オースティン・ライトによる小説「ミステリ原稿」を映画化。
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4.《ネタバレ》 希代のファッションデザイナーの監督作ということで、構図や映像の美しさに納得のセンスを感じる一方、内容の方も示唆に富んでおり、なかなかどうして味わい深い一作である。

現実世界のイメージを投影した「夜の獣たち」を劇中劇として描いているのが特徴的だ。とはいっても入れ子構造など今となってはありふれた手法である。しかし個人的には、そこに存在する「ある違和感」が良いアクセントになっていると感じた。

つまり、なぜエイミー・アダムスではなくアイラ・フィッシャーなのか?
「夜の獣たち」は小説を読み進めるスーザンの目線で映像化される。そのため劇中劇のトニーはシェフィールドの投影、つまりジェイクの1人二役となっている。

しかし小説内のローラはどうだろうか。
定石では現実世界同様にスーザンの投影、つまりエイミー・アダムスが演じるのであろうが、まったく別の女優であるアイラ・フィッシャーが登場する。
さらにはエイミー・アダムスに意図的に似せてあるようだから不思議だ。

理由は明らかにされないが、適度に思案を巡らせる余地があって良い。

小説内の家族構成はスーザンがシェフィールドといた場合の姿ともとれる。思うにスーザンは、シェフィールドを選択した別のミライの自分をローラに投影していたのではないか。

ではスーザンは誰に自分の人間性を投影したのか。それはアーロン・テイラー・ジョンソン演じるレイ、つまり「夜の獣」ではないだろうか。

人は、自分にされたこと相応の態度で人に臨む。
スーザンは自分が他人に与えた傷を、客観的に顧みているのである。

以前シェフィールドはスーザンを「夜の獣」と呼んでいたということを踏まえると、スーザンはシェフィールドの思惑通り、レイに自分を重ね、トニーからローラを奪う理不尽さ・非情さを痛感したのだろう。

本作は復讐の物語だ。
映画や小説において復讐というと、大儀や正義を果たすための戦いや、血みどろの復讐劇を思い浮かべる。(英語で言う「アヴェンジ」「ヴェンジェンス」といった類か。)実際、小説「夜の獣たち」の中での復讐はそれに近い。

しかし作品内における現実世界での復讐はまた違った形をとる。
最愛の人に見限られ、非情な方法で見捨てられた者の声。
それは画廊に飾られた「リベンジ」の文字が示す通り、過去の遺恨に救いを求める出口のない不毛な感情なのだ。
レイを討ったトニーが盲目となり自らの身を滅ぼしたように、復讐を果たしたシェフィールドもまた、この負の連鎖を覚悟の上なのだろう。

若きシェフィールドを信じていたら、どんな未来が待っていたのか。
美しさと成功、はたから見れば全てを手に入れたように見える現在のスーザンだが、頼れる者もなく心は虚ろだ。
それは冒頭の裸婦(絵面キツイな)の世界とは完全に逆。一般的な理想とはかけ離れた醜悪さで、一糸まとわず文字通り持たざる者たちのなんと楽しげなことか。そんな裸婦たちも次のカットでは作者の演出によって殺害され息絶える。

シェフィールドとの未来を殺してしまったスーザンのもとに、待てども待てども彼は現れない。謝罪も精算も許されない。(そもそも劇中に現在のシェフィールドが一度も現れないので、小説自体が懺悔することしかできない彼女の妄想とも取れるが)
本作は復讐の物語であるとともに、哀しい愛の物語でもある。
サムサッカー・サムさん [映画館(字幕)] 7点(2018-01-11 14:02:21)(良:2票)
3.《ネタバレ》 現代美術家として成功を収め、実業家として名を馳せた夫と何不自由ない生活を送ってきたスーザン。ある日、そんな彼女の元に一冊の本が届く。タイトルは『夜の獣たち』。作者の名を見て彼女は思わず息を呑んでしまう。その名は二十年前に破局を迎えたきり、ほとんど音沙汰のなかった元夫エドワード・シェフィールドだったのだ。資金繰りに息詰まっている今の夫を出張へと送り出したスーザンはソファに横たわり、その元夫が書いたという本に目を通してゆく――。物語はその後、彼女の現実世界と小説内のフィクションの世界、そしてスーザンが二十年前に作者である元夫と過ごした若き日々を複雑に行き交いながら、暴力と不条理に満ちたミステリアスで濃厚な世界を形作ってゆく。劇中劇として語られる小説の世界は、テキサスの夜の路上で偶然出会ってしまった荒くれ者たちによって妻子を凌辱される一人の男の物語。そして二十年前の若き日のスーザンと元夫との物語は、情熱的な恋に落ちた二人が悲劇的な結末を迎えるまでを描いている。ポイントは、この小説の主人公とスーザンの元夫役を同じ、ジェイク・ギレンホールが演じているところ。本来は何の関係もないはずの二人が、主人公であるスーザンの想像の中では同一人物と認識されることで、この元夫の本書を書いた意図が透けて見えてくるという非常に高度で深い心理劇を形成することに成功している。とても考え抜かれた優れた脚本であると言えるだろう。また、人生の曲がり角を迎えた中年女性を演じたエイミー・アダムス、凄みのある犯罪者をリアルに演じたアーロン・テイラー・ジョンソンもこの作品の不穏に満ちた空気を醸成させることに貢献している。特に癌に犯された刑事役を演じたマイケル・シャノンの存在感は際立っていた。果たして、このような小説を書きさらには二十年も前に別れた元妻へと送り届けた、この元夫の真の意図とはなんであったのか。復讐?懺悔?未練?そして最後に彼が取った行動の本当の意味とはまで、見る人それぞれにいかようにも解釈できる、とても優れた心理ドラマの秀作であった。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 7点(2018-12-30 00:04:48)(良:1票)
2.《ネタバレ》 妻と娘が遺体で見つかるまでは、いったいこの先どうなるのかが気になって画面に釘付けになってしまったのだが、遺体が見つかってからは、送られてきた小説で何を伝えたかったのかが気になって、結局最後まで釘付けにされてしまった。
一本の映画で二度楽しめる点は評価したい。
小説が全くのフィクションなら、主人公の夫が主犯格への断罪と引き換えに死を迎えたことにはどんな意味があったのか。
妻と娘を奪われそうになった時に、戦うべきだったと刑事に訴えた夫。
小説が復讐のために執筆されたのだとすれば、妻を奪った今の夫こそが憎むべき相手のような気もするが、エドワードには多分、スーザンしか見えていない。
スーザンが自分の所に戻って来たときに、彼の復讐は終わるのではないか。
だとすると、レストランでの待ち合わせにエドワードがやって来ることはない。
再会の約束をした瞬間に彼の復讐は終わり、自ら命を絶ったのではないか。
純粋で一途な男を演じさせたら、ジェイク・ギレンホールに並ぶ人はいない気がして、そんな想像をしてみた。
roadster316さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-11 21:10:25)
1.原作既読。
映画はスーザンの所へ元夫が執筆した小説「夜の獣たち」の原稿が送られてくる所から始まり、それを読み進めるスーザンの現在と作中作を交えながら展開して行く。
原作では、ちょっとずつ読み進めながらも、たまに現実へ戻り複雑な心境を覗かせていて、段々と心揺れ動いていく様子が克明に描写されていた。
しかし、映画ではその心中を表す事が少ない為、彼女の表情から読み取るしかなく、原作とはまた違ったスタンスで楽しむ事が出来た。原作を読んでいない人には少々解りにくいかもしれない。
元夫と作中作の主人公、両方をジェイク・ギレンホールに演じさせるというのは映画ならではの試みで面白い。
あと、オープニングの裸体が踊るシーンは凄いインパクトだが、原作とは何の関係もありません(笑)
ヴレアさん [映画館(字幕)] 7点(2017-11-14 12:18:41)
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【点数情報】

Review人数 13人
平均点数 6.38点
000.00%
100.00%
200.00%
317.69%
417.69%
517.69%
6323.08%
7430.77%
8215.38%
917.69%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 Review0人
2 ストーリー評価 6.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 6.00点 Review1人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人
chart

【アカデミー賞 情報】

2016年 89回
助演男優賞マイケル・シャノン〔1974年生〕候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2016年 74回
助演男優賞アーロン・テイラー=ジョンソン受賞 
監督賞トム・フォード〔監督・デザイナー〕候補(ノミネート) 
脚本賞トム・フォード〔監督・デザイナー〕候補(ノミネート) 

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