2.暴力的で病的な雰囲気ながら、美しく詩的なシーンもあるし、最後はなんだかんだハッピーエンド。良いところはたくさんあるのだが、映画全体に漂う、主人公の不安定な精神を表現したような病的な雰囲気が、あまり心地よくはなかったため、7点評価とする。ただこの雰囲気を高く評価する人が、少なからずいることは理解できる。カンヌで高評を得たのも、本作の病的かつアート的な部分が評価されたからではないだろうか。
タクシードライバーと比較する人もいるようだが、個人的にはタクシードライバーは病的でハードな部分とメロウな部分(バーナード・ハーマンによる、ジャズ調の優しいスコア)が上手く調和していて、どこか心地のよい物語になっていたのだが、本作はメロウな部分が少ないため、アートで病的、そうしたハードな部分が際立ってしまったという印象がある。したがって、完成度についても、タクシードライバーよりは下だろうと評価する(じゃあどうすればよかったんだ?といわれるとなかなか難しいのだが)。
ちなみに観賞していて、なんかインディーズのオルタナ系音楽の香りがするなぁと思っていたら、案の定、音楽はジョニー・グリーンウッドが担当していた。そりゃ音楽も尖った感じになるわな。