3.《ネタバレ》 『レザボア・ドッグス』でオレンジを演じたティム・ロスの初監督作品。
仲睦まじく見えた家庭だったが、弟が姉と父との異常な関係に気付いたことから崩壊へと向かう。
赤ちゃんが産まれたばかりだというのにとんでもない父親で、姉を慕う弟が殺したくなる心情もわかる。
真実を突きつける弟に逆ギレして罵倒する父親の姿は、おぞましく呆れかえるばかり。
姉弟の前でヌケヌケとシラを切る醜態には、親の責任や尊厳は微塵も感じられない。
終始静かで重い空気の中、進んでいく物語は、緑の大地に覆いかぶさるような曇天とマッチしている。
海岸沿いの寂寥感あふれる風景が、禁忌の生々しい傷をリアルに浮かび上がらせるかのよう。
それまで演技経験のなかった18歳の新人ララ・ベルモントが瑞々しくて魅力的で、大抜擢されたのも納得の存在感。
映画界でもっと活躍してもいい素材に思えるのに、以降これといった作品に出ていないのがもったいない。
たまたま街でスカウトされたらしいが、本人に女優としてやっていく意志がそれほど強くなかったのだろうか。