1.《ネタバレ》 起伏の少ない映画。とりあえずそれが第一印象です。主役の荒川青くんを中心にゆるりと流れる、でもその流れはそれほど綺麗ではない。どっちかというとどよっとした汚れた小川を眺めている気分だった。
主役の荒川青くんは一見おしゃれで良い意味でだるっとした雰囲気を持つ若者。他者とはそれほど関わらず、それゆえにいざ接近戦になるとすぐボロが出る性格。そんな荒川くんが彼女に別れを切り出されるところからはじまる。
このタイミングでモテ期到来というか、突然女の子との出会いが増える荒川くん。田辺さん、女監督さん、イハさんなど。荒川くんは田辺さんや女監督さんにはモーションをかけるというか、積極的に関わっていくように動きますが、なぜかイハさんにだけは一歩置いた友人対応。先の二人にあんなふうに接するような男だったらイハさんにもいきそうなもんだけど、それは起こりませんでした。何が違いなのか。一見したところではわからない。
ただ、広いようで意外と狭い「街」の上で起こっていく出来事は良くも悪くもいちいち人間臭い。そして人間臭いゆえに、上述したようにどよっとした小川の雰囲気で流れていく。
雪との別れ、古書店での田辺さんとのやり取り、バーでのマスターと五叉路さんとのやり取り、映画への出演、間宮との出会い、イハとの出会い、その他諸々の出来事がちくちく刺さる。素晴らしく良いというわけではないですが、じっくりと眺めて味が出る映画だという印象でした。