1.《ネタバレ》 1970年代、アパルトヘイトの嵐が吹き荒れていた時代の南アフリカ。政府のそんな理不尽な人種隔離政策に反発し、非合法な活動を続けていたある二人の白人青年が逮捕される。彼らの名は、ティム・ジェンキンとスティーブン・リー。裁判の結果は、それぞれ懲役12年と8年の実刑だった。判決は瞬く間に確定し、彼らは速やかに当時地獄と恐れられていた白人専用のプレトリア刑務所へと収監されるのだった――。だが、彼らはまだ諦めたわけではなかった。愛する者のためになんとしても脱獄しようと目論むティムが考えた驚きの方法。それは、刑務官が常に腰にぶら下げている鍵の形を暗記し、それを木で彫って複製しようというものだった。少しでも力を加えればすぐ折れるうえに、刑務所のドアを開けるためには外から差し込まなければならない。しかもそんな鍵が外に出るまでに10もあるのだった。無謀とも言える彼らの計画だったが、それでもティムとスティーブンは持ち前の執念と正義への情熱でもって少しずつ鍵を彫り続けてゆくのだが……。実話を基に、難攻不落とも言われた刑務所から決死の脱獄を図った二人の青年を描いたプリズン・サスペンス。主演を務めるのは、髭もじゃ顔がすっかりトレードマークとなったダニエル・ラドクリフ君。まぁいわゆる古典的な脱獄ものなのですが、本作の特徴はその脱獄の方法が木材で鍵のコピーを作ろうとするところ。しかも目で見ただけでその鍵の形を覚えようと言うのですからまさに無謀。そんな馬鹿な…と思わなくもないですが、この時代のしかも南アフリカですからこれくらいセキュリティが甘々だったのでしょうかね。これが実話じゃなかったら、「脚本家、テキトーに書きすぎ!」と途中で冷めていたところでしょう。とはいえ、脱獄のドラマだけに特化した本作は、その手のツボは押さえられていたのでけっこう楽しんで見れました。冷酷非道な刑務官にいつ見つかるか、彼らの計画がいつか露見するんじゃないのかと最後までハラハラドキドキの連続で目が離せなかったです。ただ、全体的な感想としては正直薄味。もう少し政治的な背景も描かれていればより深みが増しただろうけど、そこは敢えてバッサリ切っちゃったのは良かったのか悪かったのか。シンプルな脱獄ものとしては普通に面白かったんですけどね。