1.《ネタバレ》 『カウントダウン』は死期を知らせるアプリ。神父はこのアプリを『悪魔との契約』すなわち『呪い』と言いましたが、そもそも寿命は運命によって決められているものであり、死ぬ日時を事前開示しているに過ぎません。おそらく悪魔の目的は、死の恐怖に慄く様を眺めること。またほとんどの者が運命に逆らおうと行動を変える『契約違反』をおかすため、この場合のみ悪魔が直接命を奪うことが許されるのでしょう。
『呪い』ならば破ることが可能なはず。しかもこの呪いは一般的な二者契約ではなく多人数契約に該当するもの。死期を守らぬ『契約違反者』が一人でもでれば呪い(契約)全体が破棄になる理屈。なるほど。多人数契約における高い不履行リスクの隙をつく見事な作戦であります。ただ、運命は簡単に変えられるものではないでしょう。悪魔も邪魔をしますし。主人公が悪魔を欺けたのはキリスト教お得意の『自己犠牲』が功を奏した結果と考えることも出来そうです(参考例:オカルトアクション『○ンス○ンチン』)。いずれにしても主人公姉妹はアプリをダウンロードしなければ運命に従い死んでいた訳で『災い転じて福となす』な結末でありました。いやエンディングを見る限りそんな単純な話ではありません。アプリ登録者の死期(運命)は今回の一件で一旦ご破算となったので、新たな死期がどう割り振られるのか誰にも分かりません。それにこれからも契約違反者が出る可能性も大いにある訳で、その度にバージョンアップされ、余命が変わる『カウントダウン』に悩まされ続ける人生が約束されたとも言えます。心穏やかではいられませんな。ならいっそ健康的な生活を心掛け、契約違反にならない形での健康寿命延伸に励むのが良さそうです。BMIが理想に近づくにつれ余命が伸びるとか胸熱ですな。なんだそりゃ。
予告編を見る限りありきたりなアイデアのオカルトサスペンスで、正直あまり期待していなかったのですが、これが意外と面白い。小難しい理屈を付けることなく、分かりやすく納得感のあるストーリーで好感が持てました。傑作という程の出来ではありませんが、普段使いの(?)サスペンスならこれくらいが丁度良いと思います。