5.《ネタバレ》 「なんてバカな死に方なんだ」。
この幕切れの台詞が面白すぎて、たとえネタバレと言われてしまおうがふれずにはいられません。
そう、この作品の主人公は最後に死んでしまいます。
極めて唐突でショッキングな死の訪れには呆然とさせられてしまいます。
この男、実はある能力に恵まれていたにもかかわらず、それに気づかずむしろそういった能力の存在に懐疑的な立場を持つ人物だったのです。
自分の持つその能力に気がついていれば、あるいはその能力の存在を認めていればこの死はさけられたかもしれないのにということで出てきた嘆きの台詞なのです。
自分で自分の正体に気づいていない系の先駆けとなる作品でしょうか。「エンゼルハート」や「シックスセンス」、「アンブレイカブル」、「ファイトクラブ」、「アイデンティティー」など、元祖といえるのはラヴクラフトの「インスマウスをおおう影」あたりの文学作品なのかな。
物語の最終盤で主人公と一緒に目が覚めるような感覚が楽しめる作品群です。
ところでロバート・デニーロも出ている「レッドライト」という作品が同じテーマを扱っていて、視点を変えただけの同じ作品と言ってもいいくらいです(言い過ぎ)。
だから、ははぁん、これは同じテーマの光と影ということで「赤い影」に対し「レッドライト」というタイトルにしたのかな、と思ったのですが。
実はこの「紅い影」というタイトルは日本だけのもの。原題はドントルックバックナウという全く違うものでした。
「レッドライト」の製作陣がこの映画の日本語タイトルを知っていてもじって付けた?
それも不思議な気がします。
観光シーズンでないベニスを舞台にした寒々とした背景はなんとも魅力的です。
傑作。
この映画には謎にものすごくエロチックなシーンがあります。
でもこれが夫婦のセックスだということになると、まったく興奮しないのが不思議。
不倫ものやワンナイトものだとそれほど過激な描写がなくても興奮するのにね。
そりゃ映画が不倫ものばかりになるわけだわ。
お子様は見ないようにね。