4.《ネタバレ》 白い静寂の画面を唐突に横切る逃走車とパトカーにまず驚いた。かつての悪童ショーン・ペン初監督にして脚本も担当。とにかく丁寧に作られている。映像もそうだが、人物描写が特に丁寧。丁寧すぎるくらいである。ちょっとした脇役にも手を抜かない。どういった町で主人公達がまわりからどう思われているかなどを解からせる重要な役割を担っている為の丁寧さなのだが、変な伏線を期待させるデメリットにもなっている。社会から逸脱した弟と警察官という社会の象徴である兄の物語である。兄は弟に幸せになって欲しい。弟だって幸せになりたい。しかし弟にとっての世間は冷たい。世間自体はそんなもんである。でも世間と接したことがない弟にしてみれば許せないのである。この破滅型の弟に少しでも共感出来る部分があればいいのだが、無ければこの映画は面白くないだろう。ラスト、兄は弟を捕まえない。救えないと察したのだろうか。会話無く別れる。なんともやるせない。