3.《ネタバレ》 孫が、おばあちゃんの料理を不味いというところが、リアルでほろ苦かったです。
おばあちゃんが料理下手かどうかは別として、子どものころは煮物が嫌いで、お母さんと違う味付けを不味いと言う子は割といると思います。
そんな率直さや食べ物に文句を言えるところが、本当に平和に幸せに暮らせてるんだなと思います。
甥のクラークと鉦ばあちゃんのやり取りは、違和感がありました。
それは、アメリカ人が原爆を落としたことを謝ってるように見えるから、ではなく、日系アメリカ人という設定でカモフラージュしてるのが、表現の限界なのかと思ったので。
錫次郎じいちゃんだって、成功して富豪になったけど、戦後日本人というだけでハワイで相当苦労したはずです。
その息子に謝らせるのはどうなのか。
ただ、そのモヤモヤは、ラストシーンで飛んでいきました。
鉦ばあちゃんは過去へ戻っていきました。
子や夫を守り迎えに行く為に。
逆さになった傘を掲げ、暴風雨に髪や洋服をたなびかせながら、一歩一歩しっかりと前を向いて足を運ぶおばあちゃんの姿は、とても神々しかったです。
そこに被さる「野ばら」の明るい歌。
途中何度か出てきた曲やバラの花が、ここに繋がっていました。
そしてまた、エンドロールで流れる「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」
この作品から更に30年経った現在、未来を託された自分たちは、今どう生きているのか。しばらく考えさせられました。
好き嫌いは抜きで、見た方が良い作品だと思いました。