12.《ネタバレ》 冒頭場面は、揚子江に漂う棺桶を軍艦が蹴散らす。最終場面は揚子江に漂うジムの鞄。川は時の流れ、棺桶は死、鞄はジムの少年らしい心の象徴。死と共に戦争がやってきて、ジムの少年らしい心を奪っていった。それは時代の流れであり、個人にはどうすることもできない。「太陽の帝国」とは、多感で夢見がちであり、ロマンと冒険を求める少年の心のことである。戦闘機マニアの少年が、戦争が始まっても敵国の戦闘機に思いを寄せるのは実に子供らしい。しかし戦後には、もう何かにあこがれる心を持ってはいない。一足飛びに「大人の打算世界への精神的脱皮」を強制させられたのだ。不憫でならない。原作者は「奪われた少年時代」を批判するわけではなく、乾ききった目で淡々と述する。事実としては、原作者は捕虜収容所を家族と一緒に過ごした。独りだったとするのは体験の異常さを強調するためだろう。監督は原作に忠実でありすぎた。その為観客は肩すかしを食い、感動できない。主題が解りにくいのだ。 【肩すかし】①ジムは日本軍に入りたいと言い、あこがれの零戦を撫でて飛行兵に敬礼していたのに、米軍のP51ムスタングに狂喜乱舞する。②米国人ベイシーとの友情物語と思って観ていると、ベイシーはジムを利用しているだけ。蘇州行の車に乗せようとしなかったし、地雷地帯に行かせるし、脱走も置いてきぼり。③少年と日本人との友情物語と思って観ていると、最後までナカダ(伊武)とは心が通じないし、唯一心の通じていた少年兵は頓死。④ジムの成長物語として観ていると、生存のためとはいえその世知辛い世渡りぶりは痛い。心が豊かになるのではなく、空虚になり崩壊してゆく。⑤反戦映画として観ると、戦争の悲惨さは最低限にしか表現されていない。爆撃シーンでは死も記号的。原爆を神の写真などと変容させている。⑥家族との愛情物語かと思って観ると、ジムは家族の顔も思い出せない。再会時の父親の存在の薄さ。 【日本人】美しい映像が際立つ。夕日が美しい。火花が背後の零戦が美しい。P51の爆撃場面、原爆の火が美しい。音楽も美しい。ベイシーや医者も躍動している。だが日本人だけは美しくない。トラックから降りてすぐに石を持たせて運べなどとは言わない。飛行場に重機関銃も高射砲もない。少年飛行兵がとってつけたように殺される場面は失笑。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-06 10:48:04) |
11.主題歌(?)が良いです。それを冒頭と終盤に持ってくるベタなスタイルですが、上手いなと感心しました。客受けを狙ったような過度な演出がなく、地味ながらも丁寧に作り込まれているといった印象です。ただ、色々と小さなテーマを詰め込みすぎたせいか、散文的でプロモーションビデオみたいな感じもしました。決して、手抜き作品ではないのですが「面白いか?」と問われると微妙な感じなのでこの点数。 【長毛】さん [地上波(字幕)] 7点(2007-03-08 22:50:31) |
10.武田鉄也氏がこの作品に出演できた可能性もあったらしい(スピルバーグ本人と面接したらしい)。じゃあどの役にオファーがあったのだろうか?私の予想では山田隆夫の役だったのだろうと思う。 【tetsu78】さん 7点(2004-11-23 10:57:30) |
9.なんか男の子がどんどんたくましくなっていくし、歌がうますぎでちょっと泣けた。原爆の光を夫人の魂が昇っていくのかと思ったことは、その後真実を知ったらジェイミー少年はどう思うのだろうと思うとなんともいえない気になる。米人はこれを見て何か感じたのだろうか…私も日本人なので、少しは原爆を落とした事の重大さ、悲惨さを感じてほしいなどと思ってしまうのです。 【ウィマ】さん 7点(2004-07-31 21:56:56) |
8.戦争と反戦、そしてジムの成長と言うテーマをかなりファンタジックに描いた作品。すごくよくできてるとは思います。描写は"綺麗"ですが、戦争と言うものの悲惨さはかなり美化されてます。上海侵攻の時だって捕虜に対してだって現実はあんなに生ぬるくなかったはず。でも、少年の成長に焦点を当ててるのならよくできてると思います。ちなみにGUTS ISIMATSUの登場に感動!それとクリスチャン・ベールの演技凄すぎ。。 【A.O.D】さん 7点(2004-06-25 18:21:20) |
7.戦争抒情詩かな?少年役のクリスチャン・ベールがイギリス人で、ハリウッド子役のような媚び演技じゃなかったから、この長尺でも持ちこたえられた。 【mimi】さん 7点(2003-11-15 22:58:51) |
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6.何だか、戦争の切欠と結果を混同してねぇか?ってな気がしないでもない。更に、何度観てもスピルバーグの描きたかったモノが判らない。そんな「感覚」を生み出すことが狙いかもしれんけど。長い、が、この長さは必要であったと思う。感情は時間軸に逆らえないことを、再認識した。マルコヴィッチ、が良い。 【ぽろぽろ】さん 7点(2003-07-09 10:47:28) |
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4.スピルバーグの中では好きな作品。ナイジェル・ヘーバースが目当てで観に行ったんだけど、クリスチャン・ベールの演技に引き込まれました。 【そうしょくみ】さん 7点(2003-06-20 00:43:51) |
3.少年が零戦に触れて、兵隊に敬礼するところは妙に感動してしまった。なんとなくまとまりがないような気もするが、主人公の少年はいい演技してたと思う。反戦のメッセージは伝わったよ。少年が唄う歌、あれいいね。 【あろえりーな】さん 7点(2002-03-08 12:45:40) |
2.「ドラえもん」さんのコメントに大いに賛同してキーを叩いています。上海に侵入した日本軍によって租界のの西洋人たちに大混乱が生じ,両親と離ればなれになった場面,美しい東からの光は長崎へ投下された原爆,そしてラストの全面的な勝利にはほど遠いシーン。戦争の進行と少年の成長を輻輳させる手腕は決して目新しいものではないのかもしれないが,決して饒舌にならない淡々とした筆致が印象的だった。珍しく決して声高にならないJ・ウィリアムスの音楽もこうした姿勢に合致したものである。「P51,Cadelac of the sky!」は圧巻だが゜,戦争映画の常として,T34の零戦はやっぱり見ていて情けない。 【koshi】さん 7点(2001-07-16 21:24:23) |
1.アカデミー賞を総スカンされた映画なんだけどかなりの大作だし、スケールの大きさでは同年受賞した「ラスト・エンペラー」に匹敵していたはず。当時のスピルバーグバッシングがどれほど強烈だったかを窺い知ることが出来る。・・・と言いつつ、主人公の子供の個性が今一つで、面白いと言う程でもなかったりして・・・ 【イマジン】さん 7点(2001-01-18 12:23:34) |