3.《ネタバレ》 不思議と最後まで観てしまう力を持った作品だ。
それだけ観る者を作品世界へ吸引する力を持った作品と言えるであろう。
表層的にいたって平凡で幸福な家庭が、ある日突然ガタガタと音をたてて崩壊していく。
その様を、非常に緻密に巧く描いている。
この巧さは、今日の日本映画界において傑出している。
そして女性を美しく撮る監督さんだ。
女性なのに、何故か男性が興奮するような女性の撮り方をする。
興奮とは言っても、決してエロティックな意味ではなく、純粋に女性を美しく撮るのだ。
「なんて美しいのだろう」
と、観ているこちらは興奮するわけである。
女性が女性を美しく撮ったというものではなく、それは明らかに男性目線の美しさ。
この監督って、レズビアンなんじゃないか?と疑ってしまう程に、驚くほど男性が女性を撮るような形で、女性を美しく撮るのだ。
ところで本作だが、少々解りにくさが無いわけではない。
最後の終わらせ方も、明解というわけではなく、観るものの想像に委ねる様な形の終わらせ方。
でも、これが余韻を残し、なかなか良い。
本当に、巧い監督さんだなぁ、と感心してしまった。
脚本家としての巧さ、監督としての女性を美しく撮る巧さ。
それらを併せ持った天才女流監督だ。