3.前半は、インチキ道場を舞台に、道場破りにやってくる面々(こんなに頻繁に道場破りが来るのか?)とコミカルな戦いを繰り広げるジャッキー。後半は、真の強敵がやってきて祖父を殺害されてしまい、ジャッキーがトレーニングの末に立ち向かう、という、まあ要するに、このテの映画に必要な一通りのモノはだいたいそろっている感じの作品ですな。
作中のかなりの時間、ジャッキーは戦っておりますが、基本的に、戦っているのやら踊っているのやらじゃれ合っているのやら。とても本気で戦っているようには見えません。が、その分、あまり大がかりにならぬ範囲で、アクションに色々と工夫を凝らしています。戦いそのものよりもトレーニングの場面にそれが出ていて、食べ物の奪い合いの場面とか、床におかれたツボの上を飛び石のように渡り歩く場面とか。
で、オフザケみたいな戦いを延々と見せられ、このまま終わったら、ジャッキー初監督作が泣くというものですが、この前半のオフザケは、クライマックスの戦いを光らせるためのものでもあるのでしょう。強敵・鉄の爪(って言ってもジャッカー電撃隊のアレではなくって、どちらかというとフリッツ・フォン・エリックに近い)との最終対決に先立ち、敵のしもべ3人組との戦い、これが見事。ここで明らかにギアチェンジされた印象です。そんでもっていよいよ、鉄の爪を相手に、ジャッキーが笑拳だか何なんだか、訳のわからない拳法を披露し、これにわざわざ付き合ってあげる鉄の爪が、とてもイイ人に見えてきたりもするけれど、見応えある一騎打ちが展開されるのでありました。
女装姿を見せたかと思えば、贅肉をトコトン削ぎ落した肉体美を見せたり、ちょっとナルシストっぽいところを感じさせたりもしますが、それにしてもこのクライマックスの貧相な背景。もう少しマシな場所でロケできなかったものかと。