3.《ネタバレ》 ハードボイルドらしいところといえば、最初のクレジットのところとか、終盤でハーパーが「1年のうち5~6週間だけが楽しい」とか言うところでしょうか。個人的には特にハードボイルドが好きというわけではないので、あまりピンと来ませんが。ただしハードボイルドを離れても、ハーパーというのはなかなか興味深い人物ではあります。
ミステリーとしてはまあ普通ですが、情報が次から次へと簡単に手にはいるのはどうかと思います。そのあたりがフィクションの限界でしょうか。謎解き云々よりも、新興宗教を隠れみのにして不法移民を受け入れるというあたりに、風俗的な面白さを感じました。ただ、夫が死んだと伝えられたサンプソン夫人が妙に嬉しそうだったり、その前後のミランダを意味ありげに映していたり、事件の実行犯が都合よく全員死んだりと、まだ裏があるのではないかと思わせるところがあります。もっともそれも、ハーパーに関係がないといえば関係ない。そういうところは妙にリアルでした。
まあこの映画の最大の謎は、原作のアーチャーがハーパーに変えられて、しかも映画のタイトルにまでなっているということでしょうけど。