2.ヒッチお得意の、事件に何の関係も無いのに犯人に間違われた善人と美女の2人を中心に繰り広げられる、
テンポよく展開される真犯人捜しの逃避行、ユーモアの挿入、そしてロマンティックな恋。
ことの発端となる殺人の背景や、真犯人の企み、陰謀、そういった要素が無いのでハラハラドキドキは無いのですが、
それでも時間にすると短いですが廃坑におけるちょっとしたアクションに、ラストのダンスホールには参りました。
映画の登場人物は誰1人として真犯人が誰で、どこにいるか掴めていない。
まずはダンスホールで歌手が歌う、その歌詞の中にヒントを挿入し、ゆっくりとカメラは真犯人をクローズアップしていく。
その直前まで犯人がどこにいるのか分かりませんが、100%その男が犯人と分かる形でどこにいるか提示する。
真犯人の表情に焦りの色が。しかし誰も犯人がそこにいることに気付かない。見る者を徹底的に焦らす。
ヒッチの全盛期の作品のように美男美女にビッグネームが顔を揃えることもない80年前の映画。しかし面白かった。