71.《ネタバレ》 公開当時はベトナム後遺症ものの一つとして理解されていましたが、現在の目で見れば、本作には時代や社会に縛られない普遍性があるということがわかります。トラビスがベトナム帰りであるという点は、銃器やナイフの扱いに慣れているという便宜上の設定に過ぎず(完全な素人では、クライマックスの大殺戮が荒唐無稽になりすぎてしまう)、作品の本質には何らの関係がありません。誰にでもある心の闇、それが克明に描かれているからこそ、本作は40年近くに渡って見続けられているのだと思います。。。 トラビスを完全な基地外ではなく、多くの人にとって心当たりがある範囲内でズレた人にしたという設定は、極めて秀逸でした。人と接したいんだけど、うまく立ち振舞うことができない。シビル・シェパードをナンパする時にトラビスが着ていたジャケットの絶妙なダサさ加減が(なぜ小豆色をチョイスしたんだ、トラビス)、何とも言えない哀愁を漂わせています。さらには、初デートでもこのダサいジャケットを着てくる。トラビスにとって唯一のおしゃれ着であるという点が二度泣かせます。初デートの失敗についても、彼らの周囲にはカップルが多く座っており、完全アウトの行為ではなかったという点が哀れみを誘います。ただ初デート向きではなかっただけなのですが、トラビスにはそれが分からなかった。デート先の選定ミスは男であれば誰もが経験することですが、迷惑そうなシビル・シェパードの表情と、気まずさ漂う二人の間の空気感には、自分自身の苦い経験を思い出させられるほどのリアリティがありました。。。 いくつかの失敗を重ねたトラビスは世間との関わりを諦め、自分自身の世界に閉じこもるようになるのですが、「今のみっともない自分は、本当の自分ではない。自分は、何か大きなことを成し遂げられる人間のはずだ」という漠然とした自信や、「自分を踏みつけた人間達に、いつか目にもの見せてやる」という復讐心は、誰しもが持つものです。こうした負の感情は映像化しづらいのですが、これを見事に映画で表現できているという点が、本作を傑作たらしめている要因だと思います。。。 ラスト、ちょっとした街のヒーローになったことでトラビスの虚栄心は満たされ、職場の同僚と談笑したり、自分をフった女とも大人の会話ができるようになる。あれだけ人を殺しといてオチはこれかいという脱力感も、本作のテーマに沿っていると思いました。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-02-15 15:52:15) (良:3票) |
70.世界は自分を中心に回ってはくれないことを、大人になっても分からない人間がいる。そんなトラヴィスと同様の心理状態のまま突き進んで本当に犯罪者になってしまう人間が珍しくない時代になってしまった今、この主人公の病み具合が恐ろしくリアルに感じられる。今も昔も極端な俺様男には要注意!特にこの映画に心酔しちゃうような若者にはご用心を。 こんな繊細かつ危険な人物の危うさを一挙手一投足で、或いは表情だけでビンビンに表現してみせるデニーロの役者魂にもホレボレ。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-30 22:01:17) (良:1票) |
69.なんか分からんがかっこいい。トム・スコットいいね。 【kasumi】さん 7点(2004-09-10 01:00:00) (良:1票) |
68.トラヴィスがやたら自分と重なる。なんと言うか・・感情というより感性が揺さぶられた。 【ダージン】さん 7点(2004-08-18 03:45:21) (良:1票) |
67.正直に言う。アイリスの「年増顔負けのテク」が気になって仕方ない。 【ぽめ】さん 7点(2004-06-09 17:54:01) (笑:1票) |
66.《ネタバレ》 好みが分かれそうな話だったが、役者さん(特にロバート・デ・ニーロ)の演技はもちろん、特にBGM等による演出が秀逸で、 「映画好き」が好む「名作感」が詰まっていたように思う。 「兎にも角にも、ベトナム戦争が諸悪の根源」というのが、この映画に対する私の中の総括。 (ちなみに、銃撃戦~エンディングのくだりは、死にゆく主人公の「妄想」だと私は思っていたが、「現実」だというご意見の他の方が多い。自死し損なったとは言え首を撃たれてるし。ヒーロー扱いされてすぐに治療して、おまけに髪も元通り伸ばして、早々に社会復帰なんてできるのだろうか・・・。) 【2年で12キロ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-13 09:22:57) |
65.自分の中で沸々と感情が高ぶってくるのがわかる。 「ジョーカー」を見たときと似たような、高揚感。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-03-18 19:46:56) |
64.《ネタバレ》 初めて見たのは80年代。 まだ中学生だったので、ラストの銃撃戦がカッコイイと思うだけの作品でした。 今、もう一度見返してみて、当時の背景を思うと、こういうスタイルの映画は皆無だったわけで、この映画が今後、ジョンレノン暗殺犯や、ジョージハリスン殺害未遂の容疑者に強く影響を与えたんじゃないかと、恐ろしく思えます。 主人公のトラビスは結局は自分の意志とは反し、社会的なヒーローになるのですが、サイコパスがなくならない理由が、この映画から伺えるような気がします。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-10 18:26:51) |
63.ジョーカーの評論を聴いたり読んだりして、これも見なきゃいけないなと焦り、TSUTAYAでレンタル。 ベトナム戦争から帰ってきたトラビスは、ニューヨークでタクシーの運転手。ゴミ溜めみたいな街のロクデナシばかりの人々を乗せて過ごすうちに、トラビスの中で何かが軋み始める。 なるほど確かにトラビスはジョーカーだ。順番的にはジョーカーがトラビスだ。 トラビスにとってニューヨークは、ベトナムの戦地以上に人間らしさが失われた狂った社会ということか。その反面、トラビスのめんどくささには親近感というか同族嫌悪というか憧れを覚えるのも確か。 |
62.時代を象徴する映画。 静けさと狂気とを、音楽が上手く表現している。観る価値がある。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-26 23:43:26) |
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61.《ネタバレ》 わけわからん男のわけわからんストーリー。 この時代の映画は、観客にすり寄ってこないのがいいですね。 トラビスの何しでかすかわからない感で最後まで走りきったのはお見事でした。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-05-13 21:28:13) |
60.歪んだ承認欲求を満たすために最悪な行動を起こした男の物語。貧困と無縁社会が顕著になった現在となっては、努力しても報われないことが多く、孤独からネットでも満たすことすら難しい時代だからこそ、その危うさが切実に伝わってくる。社会から認められないと嘆く主人公は他者からの見返りばかり求めていて、優越感に浸りたいだけで人に愛情を与えたり感謝しようとはしない。言わば自己愛の塊だ。劣等感と自己否定の裏返しである。彼は鏡に映る自分の醜悪さを受け入れたくないまま、自己崩壊していくのだろう。時代が追い付いたからこそ、「承認欲求を捨てなさい」と勧めるアドラー心理学が流行るのは分かる気がする。他人からの承認ではなく、惨めでも自分自身を認めてあげられない自己愛性人格障害の悲劇。レビューで【良】投票を貰いたい下心は誰にでもあるんじゃないかな。 |
59.《ネタバレ》 初めて見た中学生のときは理解できなかったが、今回はあの孤独感が理解できてしまった…。 だけどその殻を破る方法が銃って、全く参考に出来ないよ。 【Trunk】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-01-24 03:23:49) |
58.《ネタバレ》 ロバート・デニーロかっこいいなぁ…。自分の存在意義を真面目に考えているんだけど、社会に溶け込めず、恋人に振られ、ついには大統領暗殺を企ててしまうという狂気に満ちたトラヴィスを見事に演じていました。ジョディ・ホスターの幼き姿を見れるのも見所です。しかしラストはちょっと予想外の展開で驚きました。これでいいのか… 【nyaramero】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-27 18:46:27) |
57.《ネタバレ》 好き嫌いがはっきり分かれそうな内容でしたが、いずれにしてもデ・ニーロのインパクトに尽きると思います。 最後に警官が踏み込むシーンの彼の表情、そして、そのあとの上から撮影したシーンは、強烈に記憶に残りそうです。 これで終わりと思いきや、その後にお礼の手紙・・・ここで???。あれ?死んでなかったの?と疑問。 植物人間状態で生きてたのか・・・と思いきや、普通に日常生活に戻っていて、さらに??? このラストは、現実にはあり得ないと思いますけど、想像を駆り立てられて良かったです。強烈なストーリーの後の一種の清涼剤のような気がしました。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-10-06 21:31:50) |
56. 青年のありふれた出来事を描くのかと思えば、まるで、いつ爆発するか分からない爆弾に早変わり。 作中の人物がまともな会話を繰り広げることはほとんどなく、つかみ所の無い人物達にも恐怖。 暗部が二時間に凝縮されている。 変調が印象的なメインテーマが、この映画にぴったりとはまっていた。 【タックスマン4】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-06-23 22:36:22) |
55.《ネタバレ》 トラヴィスの愛情の向け方はことごとく屈折している。自分が好きなポルノ映画だからデートの相手も当然楽しむものだと考える。相手が自分に愛情を向けなくなると逆切れして暴れる。いまでいうストーカーで、到底通常の恋愛とか社会生活を送れそうもない。頼まれてもいないのにアイリスを救済するのも同じ。あれだけの流血事件によって救済されたアイリスは、幸福なのか。むしろ一生トラウマになるだけではないか。大統領候補の暗殺が失敗し、たまたま売春宿の襲撃に切り替えた結果、英雄にまつりあげられる。本来なら殺人罪で一生刑務所入りだろうが、この結果が本当に彼にとってハッピーエンドだったのかは疑問だ。 【エンボ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-11-07 23:09:59) |
54. 音楽がとても好きです。一旦耳についたら離れません。タクシーの車窓に映る街の夜景も素敵です。あと、何と言ってもシビル・シェパード演ずるヒロインが綺麗で、その点だけは、主人公に問題なく共感できます。 ただ、ストーリーが………。 主人公に共感できないというのではなくて、実は真逆。同じような要素が自分の中にあるから、不愉快で不安定にさせられるんです。 例えば、街角で自分の価値基準に反する人びとを蔑んだ目で眺める。あるいは、テレビで凶悪な犯罪者のことを知り、その人が死刑になることを望んだり、死刑にならないことを憤ったり。こういった「正義感」がどれだけ独りよがりで粗雑か気づかせてくれる映画です。 【rhforever】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-10-27 16:27:18) |
53.評判の作品だったが、やっと鑑賞。でも心理状態の変遷が理解できず。 デ・ニーロの細身の姿、フォスターの10代半ばの若い姿も楽しめた。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-03 21:42:30) |
52.ここの評価基準に当てはめると評価が難しいんですが・・・自分的にはなかなか面白いけど他人には薦めにくいかなということで6.5点。トラヴィスの表情はいつも捉えどころがなくてポーカーフェイスにも思えるのに、デニーロが冷静・敏感・繊細に何かを感じている目をしているのが上手いなと思います。 【失言さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-06-30 21:25:55) |