7.《ネタバレ》 一見するとほのぼのとした、温かい、親と子のヒューマン・ドラマ。といいたいところなんですが、よくよく考えてみるとこの作品、裏に実は皮肉っぽい意味合いがあるように思える。アメリカに行きたくない。この小部屋がいいという社会主義者の父。でも資本主義の申し子みたいな息子の成金パワーによって結局はきれいな病室に移り、ヘロインを手に入れ痛みを和らげ、教え子が見舞いに訪れ(本人は知らない)、本当は車を買って旅に出たいんだという夢を語り、人類の歴史は殺し合いの連続だと言いながらも自らがヘロイン投与の安楽死を望む。このお父さんの死は明らかに、資本主義や情報が押し寄せ、やがて崩壊へと至る社会主義国そのもののメタファーであることがわかります。なぜわざわざ娘が船上に居て父に会えずビデオメッセージを送るという設定であるのか。それは、社会主義を崩壊させた一番の要因が「情報」であるからでしょう。本作の原題はTHE BARBARIAN INVASIONS(蛮族の侵入)。二つの仮面を持ったなんとも巧妙な作品です。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-05-26 00:54:36) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 主人公のレミは末期ガン患者。彼の末期のために、元妻も不仲だった息子も、友人たちもかつての愛人たちも集ってくる。レミはパッとしない大学教師で、すこぶるつきの女好きで妻子泣かせで、ワインを愛する快楽主義者。でも思想的には筋の通った社会主義者でもある。レミの奥さんからしたら、こういう夫はどうか?と思うけど、本人にとってこんな楽しい人生はないでしょう。こんなに人生を楽しんで、友人、妻子に囲まれて最期を送るなんて、なんてうらやましい。レミは生きる喜びを存分に味わっている。(酸いも甘いも)だからこそ、この幸福な最期が送れるのでしょう。自分にもいつか、こんな充実した最期が来るだろうか?もっと人生を味わいたい!と切に感じた映画だ。 【霧のターンパイク】さん 7点(2004-11-08 18:03:59) (笑:1票) |
5.《ネタバレ》 どっかの映画のタイトルではないですが「生きてるうちが花なのよ、死んだらそれまでよ」という言葉が思い浮かびましたね。人間にとって死とはすべての終わりなんだなと思いました。愛情や友情や楽しいことは勿論のこと、苦しみや憎しみ、対立さえも強制終了してしまう・・・・。だから、この父親のようにすべての完結をある程度見届けた上で死を迎えられるのは本当に幸せなことなんでしょうね。ユーモア(若干ブラックなのもありましたが)にあふれた温かい雰囲気が非常に心地よかったです。 人間誰しもいずれは受け入れなくてはならない問題ですから、いろいろ考えさせられました。 【TM】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-02-21 19:58:48) |
4.《ネタバレ》 好きな場所で親しい人たちに看取られながら安楽死。一種の理想的な死に方ですな。父親と息子の対比も良かった。ただ下ネタがくどかったのでマイナス1点。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-04-08 22:02:28) |
3.《ネタバレ》 普段は死についてまったく意識にしないで生活している私なんかは、人生をそれほどマジメに生きていないわけですが、初めて死に直面した時の、普段は陽気なレミのあの表情(隣の人工呼吸している患者を見る目等)は上手いなあと思いました。それと考え方の違いから疎遠になっていた息子が、父親をもう直ぐ失うと理解した後のあの献身ぶりは、偽善的にも感じなかったし素直にそう動くだろうなと思って見ました。ただ世の中にはもっと不幸にして亡くなる方が多く、レミは温かい仲間に囲まれて最高の最期になったのではないでしょうか?しかもヘロイン中毒だったナタリーの人生観を変えた。ちゃらんぽらんに生きていた人間、まだ生に執着する人間にも容赦なく襲ってくる死。その現実を直視して悟ったナタリーも救われたし、金を握らせないと見舞いすら来ない生徒ばかりの中で、無理しない生き方で、他人の人生観に影響を与えるって凄く幸せな人生ではないかと思いました。 |
2.《ネタバレ》 アカデミー賞らしくない、捻くれた作品ですね。 親父が信奉している社会主義は、資本主義の申し子である 息子にしてみれば全くの時代遅れで相手にされない。 死ぬ意義を見出したいと気張ってみるものの、実際は ヘロインを打たれてラリってるだけ。 国家や政治について偉そうに語ってみても、 実際、頭にあるのはエロいことばかり。 臨終の際に思い浮かべるシーンも、女性の太ももである。 そんなどうしようもない親父をかわいいと思えるかどうかで、 評価が分かれてくる映画ではないでしょうか。 【Ruby】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-04-24 04:44:05) |
【粉】さん 7点(2004-07-19 00:59:00) |