1.増村保造の映像美。これに尽きます。ワンカットごとの構図、光と影のバランス。もう映像的にはカンペキ。ため息すら出ますよ。減点は、もともとが長大な舞台劇の原作を無理に90分に圧縮してしまったために、どうしてもダイジェスト版のようなせわしさを感じてしまう点。この映像美なら、私は、3時間の上映時間であってもただただ身を任せてみたいくらいなのに。ほんとに勿体ない!
増村保造は、私の見た範囲でも、『華岡青洲の妻』といい『千羽鶴』といい、文芸モノでもキッチリ仕事が出来る監督ですね。(『音楽』みたいな外れもあるけど(苦笑)。)
娯楽も出来て芸術作品もこなせる。昔の人の職人技には心から感心してしまいます。