1.以前、プドフキンの『母』のレビューで『ストライキ』について触れたことがあるんだけど、モンタージュ理論の差異などは全くわからないんだけど、単純に事象(この場合だとストライキ)を描くためのドラマがある『ストライキ』よりもドラマの背景として事象がある『母』のほうが印象に残った。トーキーだとまた変わってくるんだろうけど。トーキーならば許されざるオーバーアクトもサイレントでは表現方法の一つとして有効ってのもあるかも。とにかく、おそらく物語をモンタージュ武装で語ってゆく前半こそが映画ファンの興味をひく部分なのかもしれないけど私は退屈であった。もうほとんど「実験」と言っていいほどの多彩な試みが成されていてその心意気は買いたいが。しかしクライマックスのストライキから暴動へ発展してゆく怒涛の展開は凄い。俳優ではなく実際の労働者を使っていることが最も活かされた場面かもしれない。火災は本当に火災だし、倒壊は本当に倒壊だし、実際に起こったことを映したドキュメンタリーのような迫力。圧巻です。