1.サンフランシスコから連想するもの。金門橋、坂道、西海岸、スケートボード……。たかだかそんなことくらいしか知らなかったけれど、この映画を見て、サンフランシスコってとても逞しい街なんだなぁって感じました。サンフランシスコの山手と海岸地区、それは上流階級と一般市民の違い(どこの街もそんなふうな住み分けがなされているんですね)で、利害関係の違いによって対立する。対立といっても、『ギャング・オブ・ニューヨーク』のように秩序のない抗争じゃなく、海岸地区の名士(クラーク・ゲイブルね)と上流階級の代表者による選挙戦であり、一人の女性の奪い合いでもあります。一面ではありますが、サンフランシスコという街のいかがわしさ、奥深さ、面白さが描かれていて、とても興味深い映画でした。しかもクラーク・ゲイブルは十八番とばかりの役。危ない男で、金を持っていて、それで人情味もある。そして女性にむっちゃもてる男性の役。嫌味なくらいはまっているのが、これまた素晴らしいです。ところで、サンフランシスコを漢字で書くと“桑港”になるんですね。桑ってことは、蚕。蚕ってことは絹。もしかして、東洋の産物である絹がアメリカに一番最初に着く街だから桑港なのかな?