2.《ネタバレ》 新藤兼人監督の作品って、切れ味は悪いけど、丁寧に人間を描いている作品が多い。
本作もその例にもれず、人間描写がとても丁寧で、人間の深い部分をえぐり出すような演出が冴えわたっている。
人間が飢えと渇きの極限状態に陥った時、どういった行動をとるか?
まさに、それぞれの人間の本性が現れる状況だ。
心の強い人間、弱い人間、自分勝手な人間、そしてキャラ的に弱く餌食にされそうな人間(笑)。
この四人で構成された内容で、ラストは『飢餓海峡』を彷彿とさせる幕切れだった。
殿山泰司が主演で、これまた棒読みながらも、熱演していて素晴らしい。
脇役が多かった俳優だが、主演を張らせても、これだけ演じられるのだから凄い俳優だ。
もっとも、本作の様な地味というか地道な内容の作品でないと、主演を張るのは難しいだろう。
人間を奥深く丁寧に描いた本作であったからこその好演であり、まさに殿山泰司主演に相応しい内容だったように思う。