2.《ネタバレ》 エンディングのあとまたエンディングがありますので、
最後まで観たほうが人道的なブラックというのがわかると思います。
この映画は霊と霊との戦いです。
居眠り運転で交通事故を起こしたのは主役の家族です。
赤ちゃんを抱えた白いドレスの女性は怖がられ気味悪がられる存在ですが、
追突されて子供と共に殺されたのだからこんなに理不尽なことはない。
その相手がバカみたいな性格の家族と婚約者で、
車の時間が止まっていることからほとんど同時に死んだのです。
ところが唯一妊娠中の娘だけが生き残った。
運転手の父親は最後に疲れ果て、
終わったら(よいおじいさんになる)と紙に書きます。
つまりは孫の顔が見たいんですね。
結局二重エンディングでその紙はレスキュー隊が発見して捨てるのですが、
これで子持ちの幽霊は救われたんではなかろうか・・
そういう人道的なブラックさがあると思うのです。
バカみたいな家族が団結しようと必死になるたびに、
幽霊は現れ誘われるようにひとりひとり黒い車で連れ去られます。
この車は第一発見者の車で、
一晩中同じ道を走り回っているのもそこから逃げられないのも、
霊の呪縛であり時間的には瞬時のことでしょう。
次々と殺されてゆくように見えますが、
交通事故で息絶える順番でよく考えると怖いです。
これは(ホラーではなく交通事故だ)とわかります。
この映画の後味がまだすっきりした方だと思ったのも、
交通事故で呪縛霊となって事故を誘う浮ばれない霊の怖さではなく、
正面衝突して即死炎上した車の中の霊たちの戦いであり、
被害にあったのに気味悪がられ疎まれる女性が、
日本的に考えれば成仏できたことと、
同じ子持ちの女性が運だけで助かったわけではなかったこと。
そして孫の顔が見たい父親までは許してはくれなかった(運転手ですから!)
洋画にしては実に邦画的なホラーだなぁと。
ただしこれを邦画にしたらかなり暗く怖いんだろうなぁ・・