1.《ネタバレ》 バンツマと市川右太衛門が共演した伊藤大輔監督の大作時代劇。序盤こそやや退屈するも、おきぬ(高峰三枝子)が皿を数えはじめるあたりから緊張感が増して、面白くなっていった。皿を割ったのがもとで水野(市川右太衛門)に斬殺されたおきぬの話を芝居で上演した(これが「皿屋敷」のはじまりか?)役者が水野に連れて行かれ、一人で来れば返してやると言われ、死を覚悟で水野の屋敷に出向くバンツマ演じる長兵衛はかっこいいし、いったん和解しかけた長兵衛と水野が一転して直接対決にいたる展開も無理がなく、ちゃんとドラマとして見ごたえのあるものになっている。最後は二人で三島雅夫演じる近藤を倒すという展開でも良かったかもしれないが、あえてそうはしていないことでドラマ性が高くなり、この映画を単にただの2大スター共演というだけのものにしていない。ラストの長兵衛の眠る棺を抱えた葬列のシーン、泣き崩れる権八(高橋貞二)に、長兵衛の妻(山田五十鈴)がかける言葉がいい。それに、長兵衛の息子の「もうケンカはございませーん。」と叫ぶ姿も泣ける。さっきも書いたように前半はやや退屈に感じる部分もあるのだが、名作時代劇の一本と言っていい素晴らしい映画だった。ただ一つ残念なのは「大江戸五人男」というタイトルの意味がよく分からないことで、これだけ見ると「七人の侍」のようにチームとしてまとまった複数の主人公の活躍を描く映画のように思えてしまう。