2.《ネタバレ》 本来それが入り込む余地が無さそうなTPOにおけるエロ事象が、マンネリ化で鈍磨してしまった我々の感覚に対して、ご褒美的刺激を与える現象は、よく知られているところですが、本作品はあざといまでにそれを利用することで、成功した事例だと思います。例えば、山に逃げ込んだ北京原人を捕獲しようとするシーン。緒方直人演じる主人公科学者が、同じ生き物、仲間だと意思表示するために、荷物と服を捨てパンツ一丁になり、近付こうとするのですが、何故か一緒にいたヒロインが、こともあろうか、真似して裸になっています。あたかも、ごく自然な流れのように装っていますが、状況としてはかなり不自然で、不意を突かれます。だがそれがいい。極めつけは、北京原人の♀です。♂の風貌は、ヒトの男性の体型とは大きく異なり、ゴリラのように筋骨隆々です。よって、必然的に役者は筋肉の着ぐるみを装着しています。顔の骨格は相当盛っていて、地の顔がまったく判別できません。一方、♀の風貌は、体型がほぼヒトの女性と同じという勝手設定があるようで、必然的に着ぐるみではなく、小松みゆき(当時26歳)の生の体がベースとなっています。全身薄い毛で覆われていますが、乳房には毛はなく露出しています。日光や風雨に晒された様子はなく、白くなまめかしいです。個体が移動するたびに、そこだけが他とは違う振動周期で上下左右に揺れ動くため、いやでも目に飛び込んできます。顔は、眉のところを出っ張らせる特殊メークをしており、北京原人に似せようとしたアリバイは見て取れますが、体同様になるべく素材を活かすという選択がなされ、人物特定が容易です。地の顔がわからない程にメークを施したならば、露出度的には「けっこう仮面」の類型となりますが、素材を活かした北京原人メークは、羞恥プレイ面で、より苛酷なものになっていると妄想します。