2.3億円強奪事件をリアルタイムでおぼえているかいないかで見方がちょっと変わるかもしれない。
1960年代の日本、町並みをうまく再現している。
数十年前の過去を描く時くすんだ色合いにしたりして古臭い雰囲気を演出することは多い。 でもそれって過去なんだよね、描いてるの。
だけど60年代を映画にするということはその時に現代として生きていた人たちを描くわけだ。 その時の町もその時に現代だったんだ。 古臭くなんかなかったよその時は。 過去じゃないんだよその時は。
この映画を見てつくづくをそれを実感した。 映画全体で色調が少し不自然な感じだったけど古臭さの演出としては使われていなかったと思う。
大家石の壁。 道の角に置かれたゴミ箱。 何気ない風景がまさに60年代だった。
役者の演技も良かった。 口調が当時と比べてどうだったか。 多分ちょっと違う。 でもわざと当時の言葉使いを台詞として口にされるよりも自然な口調で話したほうが当時を生きていた人が生き生きと描写されると思う。
もちろんいつもそうだとは限らないけど。 少なくともこの映画ではそんな気がする。 素直に受け入れられた。
宮崎あおいの演技はすばらしい。
しかし3億円事件の顛末としてはどうだろう。
記録された事実に合わせてうまく話を作ってあるがやや不完全燃焼な印象を受けた。
俳優の演技、雰囲気が良かったのであまり気にはならないが。
最後の歌に違和感があった。