7.《ネタバレ》 数あるワニ映画の中でも、最も好きな一本。
「面白い」ではなく「好き」なタイプの映画である為、感覚的なものを伝えるのは難しいのですが……とにかく定期的に観返したくなる魅力があるんですよね。
監督さんが「ガバリン」や「ハロウィンH20」「フォーエヴァー・ヤング」という、自分好みな品を色々手掛けている人なので、波長が合うのかも?
何気ない場面や、ちょっとした音楽にも(あぁ、良いなぁ……)と感じてしまうんだから、とことん自分とは相性の良い作品なのだと思われます。
典型的な「誤解を招く邦題」である事。
作中での牛の扱いが可哀想である事。
メインとなる登場人物達が皮肉屋揃いで「良い子ちゃん」とは掛け離れている事。
などなど、欠点と呼べそうな部分は幾らでもあるんですが、それより長所の方に注目したい気分になるんですよね。
雄大な自然を捉えた空撮画面が美しくて、それを眺めているだけでも楽しいし、川辺でキャンプして焚き火したりと「レジャー」「アウトドア」的な魅力を味わえる辺りも嬉しい。
一応、作中で死人も出ているんだから、シリアスな空気になっても良さそうなものなのに、どこか皆ノンビリしていて「楽しいワニ釣り」めいた雰囲気すら漂っている。
それは「緊迫感が無い」という短所でもあるんでしょうが、自分としては「そこが良いんだよ」って思えました。
巨大ワニが実は二匹いたというオチにして「殺さずに捕獲出来た達成感」「ミサイルで派手に吹っ飛ばした爽快感」を、それぞれ一匹ずつ味わえる形になっているのも良いですね。
(そりゃあ無事に捕まえられたら一番だけど……保安官が持ち込んだ小型ミサイルの伏線もあるし、どうせ殺すんでしょう?)と予想していただけに、適度な意外性を味わう事が出来ました。
そして何といっても、最初は喧嘩ばかりしていた主人公四人が、一連のワニ騒動を通して仲良くなっていく姿が微笑ましいんですよね。
それも、物凄く強固な友情が生まれるとかじゃなくて「病院に付き添う」「一緒に飲みに行く」程度に留めているのが、程好いバランス。
最後も「まだまだ赤ちゃんワニが沢山いた」というバッドエンドのはずなのに、妙に明るく〆ているのも良かったです。
ワニを飼ってるお婆ちゃんは、そりゃあ道義的に考えれば「悪」なんだろうけど、彼女にとってワニは「可愛い子供達」な訳だし、それが全て奪われずに済んだという、一種のハッピーエンドにも感じられました。
この後、続編映画が色々と作られて、最終的には「アナコンダ」とクロスオーバーした「アナコンダ vs. 殺人クロコダイル」なんて品まで生み出す事になる本作品。
シリーズ化されるのも納得な、確かな魅力を備えた一品でありました。