1.《ネタバレ》 面白かったものをいくつか。「スラヴ舞曲」、一人の男がすることを、集団が真似する。男はだんだんうるさく感じてきて、崖から飛び降りるふりをして連中を集団自殺に追い込もうとするが…、ってな話。独裁者と大衆との関係の風刺で、その両者を笑っている。「ボレロ」の前半が圧巻、どこぞの宇宙飛行士が投げ捨てたコーラから、生命が生まれ進化していく。このネトネトした感覚の動きが気持ち悪くも面白い。本家『ファンタジア』の「春の祭典」のパロディなんだろうが、これだけでも充分楽しめる。芸術性では「悲しみのワルツ」、取り壊し寸前の廃屋で過去を懐かしむ猫、という設定。猫の仕種など細やかで、ユーモラスでさえあるのがいじらしい。二次元の絵から三次元の想い出がこちら側に広がってくる。ほかに「牧神の午後への前奏曲」「ヴィヴァルディの協奏曲」「火の鳥」など。「フィナーレ」で、人類が滅亡しハッピーエンドとなる。全体に“素直でなさ”が感じられるところが、イタリアというお国柄。