7.《ネタバレ》 画面はところどころ白黒で音楽は童謡ちょうちょ!やけに明るい始まり・・
本編に入るとカラーになります。
娯楽としても楽しめるのがたいくつしないところです。
普通バイオレンス描写がきつい戦争映画ならば、
シリアス面だけが勝ちしめっぽい暗い作品になるところです。
ところが中半には脳を患ったというヒントは出てくるものの、
主人公であるJ・コバーンがところどころで見る幻想シーンや、
細切れのわけのわからないカット・・
これらは意図して入れられているのですが私は十分理解できませんでした。
例えればキューブリックの作品によくある手法なのですが・・
最初に死んだロシア少年兵があちこちに出てきたり、
最後にも登場したりするので不気味この上ない。
ということは全て幻想なのかそれとも少年のいる世界へ近づいてるのか、
これは観客にまかせるということなのか、
ただヒントは主人公が野戦病院で脳を患っていたということ。
戦場に戻った主人公は意気揚々としています。
この描写はアラビアのロレンスを思い出しました。
でもかといって戦争バンザイという映画でもないのです。
が・・この監督の描写があまりに好戦的というか水を得た魚のような描写で、
爆発また爆発そして虐殺の連続とまるで兵士は楽しんでいるよう・・
こういった描写は気が狂ったような楽しさのようであり、
政治的に戦争を考えるもうひとりの主役とは大いに違います。
貴族の出であるもう一人の主役や上官はあくまで政治的に考える戦争。
最後のほうでやはりこの監督は西部劇が好きなんだと思わせるところがある。
敗者の美学を描いている作品ともいえますが、
こういった作品はハリウッドでは受けません。
戦争をしてなにが残るとかなんのためにとか難しいメッセージではなく、
あくまでも敗者の美学・・
戦いは負けたらこんなものという悲惨さを描いているのです。
逆にいえばハリウッド映画は主に戦争は勝っても何も残らないという考え、
何をなくしたとかしめっぽい反戦映画が多いのです。
戦争という国同士が決める政治手法を美化していないか?
この映画はあくまでも個人の名誉のために戦う軍人や、
敗色濃厚なドイツ軍の最後のあがきや他の映画にはない視点から描いています。