1.《ネタバレ》 最初の試練『ハエたたき』。お遊びレベルでありながら、主人公を泥沼に引きずり込む巧妙なゲームです。ポイントは“ハエが飛んでいってしまえばそれまで”だということ。否が応にも急かされる。ゲームへの参加が促されます。さらにハエを殺すという能動的な行為は「積極的に参加した」という意識をプレイヤーに植え付けるでしょう。それに「ツキがある」と思えることも大きい。オープニングゲームとして申し分ありません。その後も精神的ダメージをくらうゲームを連発し、ドロップアウトを阻止します。「ここまでやって見返り無しじゃたまらない」そう思うのが人間です。的確な判断を狂わせ、後戻りできない精神状態にプレイヤーを追い込んでいく。10番目のゲームがターニングポイント。今までのゲームとは明らかに異質でした。あっと驚く大量殺人。残虐性も極めて高い。主人公は完全にハメられた訳ですが、あまりの惨事に思考停止に追い込まれています。ゲームクリアの条件が示されていないラストゲーム。何が正解なのか分からないはず。でも答えは一つしかないように思える。それが怖い。そんな中で主人公が出した答えには価値があった…と思いたいですが。徐々に上がる難易度に“自分ならどうするか”と、常に問いかけながら物語に臨めました。面白かった。ムダに悪趣味な描写やコント風味の妙な芝居、大仰な音楽には違和感を覚えましたが、コレを“味”と思えるようになったらハマるかも。タイ映画、これから注目してみようと思います。