1.《ネタバレ》 カルト宗教の狂信者がテロを起こして、それから生き延びるサバイバルホラー。
演出やグロメイクなんかは予算もあるのだろうが甘い、B級映画の枠ギリギリだ。でも、見ててため息をつきたくなると言うほどではない。クリーチャーデザインなんかも結構凝ってるし。
問題は脚本。
私も最初は「ああ、悪魔を蘇らせないようにと他人を殺し続けてた奴らが実は本物の悪魔だったんだなあ」っていう陳腐な結末だと思った。
途中までは狂信者の不気味な無邪気さと恐怖で売ってたのに、それはないだろと。
だが、二度目の鑑賞(結構いい感じのショック描写があるので再見したくなった)でそれが違うことに気がついた。
注目点は「ヒロインの肩にある古傷」と「マフィン」である。
以下重大なネタバレ
終盤、ヒロインは肩をレイプ魔信者に斬りつけられる。
そして、冒頭のシャワーシーンで、彼女の肩にはその傷がある。
最初の夢オチは彼女のPTSDであり、予知夢でもなんでもない。
赤い水に溺れるのは教団が放送電波を占拠したときに流していた映像を象徴している。
つまり、時系列で言うと、「女性患者が電車に飛び込む」→「モンスターに詰め寄られるラスト」→「オープニング」という造りになっているのだ。
実際、ニュースでも信者へのテロが相次いでいるとしている。おそらく、今回の事件で家族を殺された人間達の復讐だろう。
狂信者以外でモンスターを見るのはヒロイン、カップル女、地下鉄ハゲスタッフ。
カップル女はマフィンを食べているところをからかわれる。ハゲスタッフは三日間マフィンと思われるモノしか食べていない。ヒロインも教団のポスター前にあったマフィンを食べている。つまり、マフィンに何らかの幻覚物質が仕込まれていて、それが作用したことでモンスターを見たということ。
解りにくいっ!
つーか、こんな伏線、この手合いの映画にあるなんて反則だろ(笑)
ちょっと感心したのはオープニングのニュースで、信者に対してテロが行われているという点。
なぜなら、テロを受けている信者達は教祖の指示に従わず、毒を飲まなかったということになるからだ。
そう考えると、監督は過激なカルト信者の覚悟なんてその程度のもんだと皮肉っているようにも思える。
登場する信者の中にも教義がすべてだってヤツばかりじゃなかったし。