2.《ネタバレ》 サメの描写自体は、水族館やネイチャーチャンネルでお目にかかるものと、何ら変わりありません。画のインパクトは無いに等しい。にもかかわらず、これほど恐怖を感じるのは何故でしょう。それは人が置かれた立場が、あまりに無力だからです。抵抗する事すら叶わぬ状況。もし彼らがナイフ1本でも所持していたら、きっと勇気を持てたと思うのです。実際それでどうなる訳でもないでしょうが、心の在り様は全く違ったはずです。見事な設定勝ちでした。サスペンスホラーは、とかく“加害者”を如何に恐ろしく描くかに腐心しがち。でも本当に大切なことは、そうではありません。この映画には“恐怖のメカニズム”が正しく活かされていたと感じます。それにしても、あの状況で船に残らない選択が正解だったとは。まさに事実は小説よりも奇なり。海洋パニック映画の金字塔『ジョーズ』とは違う手法論でサメの恐怖を引き出した点を評価したいと考えます。