5.《ネタバレ》 前半はあの少年が上手い。奇想天外な旅人たちとの行脚は、少年の表現力で非常に面白く仕上がっている。後半は田中裕子の独壇場だ。あの図太くて妖艶な表情はとにかく虜になってしまう。少年も当然の如く虜となってしまい、以降の事件へと繋がっていく。現代の渡瀬恒彦は観終わった後は殆ど記憶にのこらなかった。誤認逮捕ということだが、そんな結末はどうでもよくなるくらい、過去のシナリオは良かった。現代など最後だけで良かったと思います。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-10-02 01:44:02) |
4.《ネタバレ》 今作はあの殺人の動機を映像からどれだけ感じられるかによって視点も評価も分かれる作品だと思います。以下、自分の解釈です。あの少年は自慰くらいはやっているけれど童貞。セックスは知識として知っているが理解はしていない。母親や親近感を覚える女性に清く美しい幻想を擁く年頃でもある。しかし彼にはセックスが穢れたものとして認識されていた。その原因は母と叔父の密通。だいたい、肉親のセックスシーンほど見たくないものは無い。それも、母の相手は父親ではなく叔父である。その言葉にならない憤懣を母親にぶつける勇気も無く、グレるほど擦れてもいない。彼の憤懣の矛先は、行為自体の見え方も含めて男側に向いていたのではないか…。峠で出会った女は優しかった。娼婦の何たるかを知らない少年はその女に「母性」と「姉性」と「女性」の全てを感じていたと思える。その女が行きずりの土工に体を売っている現場を見た少年の脳裏によぎったものは、間違いなく母と叔父の穢れた関係。少年の中では、清く美しいはずの女を陵辱する男の行為だけが肥大し、衝動的に噴出した。それは、性に芽生え始めた頃の葛藤のひとつの結果。少年があと2~3歳年長だったなら、あるいは2~3歳若年だったなら、おそらく起こっていない殺人だった。少年の動機は理屈にするとこのようなことだと思います。映像では明確に語られないことが自分には肌感として感じられたので、とても深い作品として味わえました。 今作で特筆すべきは田中裕子でしょう。柔らかさとヤサグレ感を併せ持ち、少年の思春を惑わせるに充分な色気と儚さを感じさせる。警察の拷問ばりの取調べに失禁するシーンに女優魂を見ました。彼女の演技が少年心理の動揺に説得力を与えており、それが今作の骨格でもありました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-29 02:14:20) (良:3票) |
3.これはサスペンスというよりは、どちらかというと恋愛映画のような気がする。主演の田中裕子の美しさとエロッテックな雰囲気が怪しく、特に雨の中でびしょ濡れになっている時の田中裕子が怖いほど美しくて驚いた。一人の少年との大人と子供の物語の中で描かれるこの何とも残酷な話に何かやるせなさい気持ちになりました。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-09-24 16:29:52) |
2.いい映画ですね。現在と昔が交互に入れ替わるんですけど、その昔の情景がすごくいいです。トンネルやら雨やら緑やら建物やら、全体の妖しさが物語を支えてます。それにしても、切ない話です。 【あろえりーな】さん 7点(2004-04-27 22:36:12) |
1.雨の女、そんな印象を子供の時に観て感じたのですが、最近見直して、改めて田中裕子の素晴らしさを実感した次第です。彼女の底知れぬ演技力は、この映画に遺憾なく発揮されています。妖気というのか、女の艶かしさ、優しさ、残酷さを感じました。決して美人じゃないけれど、美しさをかもし出せる人ですね。ただ、彼女以外の面では不満もあります。渡瀬には無理がある。あれが残念。 【ノブ】さん 7点(2003-02-01 16:04:02) |