1.最近めっきりおとなしい(?)朝吉親分、巷で自分の噂を聞いたところ、どうやら皆、“朝吉は先の大戦で戦死した”と思っている。彼はもはや過去の人。一方で街にはまた怪しげな連中が跋扈し始めているのだけど、それが何と朝吉親分の軍隊時代の上官。当時は理不尽な暴力を振るった上官も、今では暴力は部下任せ、自らは「大学出のインテリやくざ」として、理知的にのし上がろうと野望を抱いているらしい。演じる長門裕之のクールな表情が、勝新のクールさのカケラもない表情と対照的過ぎて、あははは。しかし作品の性質上、結局は朝吉親分が暴力を振るいまくって解決しちゃうお話なんだから、知性は否定され、「いやぁ、暴力って、本当に素晴らしいですね」というコトを言いたい作品、なんですかねえ。ともかく、元上官とのカラミに加え、“モートルの貞”の仇との対決あり、いとこい師匠のチョイ役出演あり、となかなか楽しめます。清次のキャバレーに悪辣なツラ構えの連中が集まってくるシーンが圧巻! 朝吉の姿を皮切りに、店内をグルリ一周見回すカメラ、一周してもとのアングルに戻るかと思いきや、全く別の角度から朝吉を捉えている! 今どきのハリウッド大作にも負けないトリッキーなカメラがスゴイ。