4.ゲームセンターに通ったという経験はなく、そもそもテレビゲームを子どもに与えることにそれほど積極的ではない家庭だったので、テレビゲームに対しての傾倒はそれほど深くはない。
とはいっても、ファミコンからプレーステーションまで基本的なゲーム機は浅く経てきているので、ゲーム世界の裏側を描いた世界は充分に楽しめた。
世界観の構図は、すばり「トイ・ストーリー」+「アベンジャーズ」のテレビゲームキャラクター版。
メタ的要素がこれでもかと散りばめられており、少しでもゲームで遊んだことがある者ならば、楽しくないわけがない映画世界が構築されている。80年代から90年代のゲームをやり込んでいるゲーマーなら、その娯楽性は倍増することだろう。
ただのゲームキャラクター大集合映画で終わっているわけではなく、そこは流石のディズニーブランド、ストーリーは極めて大衆的でありながら、誰もが感動できるドラマ性を内包している。
社会における個人の存在と役割、その中で生じる差別やヒエラルキー。
世界中の人々がそれぞれに苦悩している普遍的な社会の病理性が、時に辛辣に描かれている。
最終的なハッピーエンドは結果オーライ的な印象も受けるけれど、この作品があくまでも“子ども向け映画”であることのスタンスを貫いている以上、この展開は極めて真っ当だったと思う。
登場するキャラクターの中では、主人公(悪役キャラ)のホームであるゲーム世界のヒーローキャラクターの存在が光っていた。
この手の展開だと、実際のゲーム世界の設定と一転して性格の悪いキャラクターとして描かれがちだけれど、正真正銘の“良いヤツ”として描かれており、主人公並みの活躍をみせ、ロマンスまで成就させてしまう様が愉快だった。
最後に一つだけ苦言。ザンギエフは悪役じゃないよね?
ただの勘違いだとは思うが、米国映画が「ソ連」の国旗を背負う彼を悪役に位置づけちゃうと、色々と時代錯誤的な面倒臭さが頭を出してしまう……。