3.《ネタバレ》 確実にタイトルで損をしている作品ですね。これじゃあ、クラシカルでオーソドックスな(古臭い)ホラーだとしか想像できませんですよ(非常に優れたアイデアのあるモダンな作品なのに…)。
敵の為すがまま、いつ、何をされるかも分からないと言う防御力ゼロの状況は、まるでサメ映画でサメが居る暗い海に放り込まれたかの様な極度の心地悪さを常時醸し出している。しかも、相手はサメではなくて悪辣で悪知恵のはたらく女サイコだという、実に不快で逃げ出したくなる様な極上のホラー具合だ。女サイコは(当然ながら)姿が見えず、終盤、一瞬姿が映りかけるもすぐ消えてしまう、という敢えて「見せない」恐怖の演出もまた秀逸だと感じる。ネガティブなラストも、過去を変えた弊害であることを含めてコレも好みではあるが、DV元旦那についてはラストで殺される以外にはあまり上手く使えていなかった様にも思う(奴が何をどうしたいのかがイマイチ分からないのも一因かと)。どちらかと言えば間違い無くシナリオは複雑な方であることもあって、ツッコもうと思えばツッコめる箇所も幾つか在る…とも言えるが、無理に気にするのも野暮であろう。結論、文句無しの優秀ホラーかと。