1.“スタンピード”ってのはあくまで邦題で、一応中盤にスタンピードな場面はあって見せ場にはなっとりますが、まああくまで中盤の一場面です。原題はThe Rare Breed、なんか地味ですね、でも物語のオチには直結しています。惜しむらくは、オチだけではなく、ジェームズ・スチュアート演じる主人公の生き様にも、古き良きカウボーイとしてのRare Breedが投影されていればなお良し、だったんですが、主人公のキャラクターが少々弱いかな、とも思います。イギリスからやってきた母娘とモコモコ牛、牧場までの彼らの旅を、スチュアート演じる主人公が案内するのですが、イギリス人にイギリス牛、何かと手を焼かされます。一方、彼らを妨害し付け狙う悪漢がジャック・イーラム。先にも述べたように逃げ場のない谷を牛の大群が押し寄せてくるシーンあり、悪漢との対決あり。しかしあくまでこれは中盤まで。後半はなんだか、どんどんおとなしい展開になっていっちゃいます(これも、主人公の存在の弱さが、一因かと)。とはいえ、全体的にユーモアが横溢していて、(オチも含め)楽しい作品にはなっております。モコモコ牛がゴッド・セイブ・ザ・クイーンの口笛におとなしく従う(ヴィクトリア女王の時代でしょうから「クイーン」ですね)のが可笑しいですが、作中にもあるようにこの曲、英国国歌であると同時に、米国では「アメリカ」として知られてたのでした(C・アイヴズ作曲の『アメリカ変奏曲』も、このテーマに基づく作品でしたね)。 また本作、音楽はジョン・ウィリアムズ(名義は“ジョニー”になってます)、彼の初期の仕事ですが、気合の入ったところが楽しめます。