1.《ネタバレ》 (前作は未見です)
今や、やや古風とさえ思えてしまうオーソドックスなゾンビ作品。それは批判的な印象ではなく、あくまでも好印象です。
ノロノロと歩くゾンビ。初見で何が起きたか把握できない状況にでもない限り、急いで走ればかわせるし逃げ切れる。特殊メイクや効果はリアリティを追求した高度なものというより、生者と死者(感染者?)を明確に区別できる程度。それでも十分グロさは伝わる。グロはあってもサービスカット的なエロは皆無。実に好感が持てます。
そして、出稼ぎ的な米国人ニコラスが現地の女性イシャニと恋に落ち彼女は妊娠。彼女の父親は二人の関係を決して許さない。けれども、過去に類似の状況で躓き傷付いた経験のある彼は、米国に独り逃げ去ることが出来るにも関わらず、命の危険を冒してまで彼女を救いに走る。いいですね~、国籍や人種を超えた人間ドラマが真面目に盛り込まれている。恩人的な位置付けの少年ジャベド(この子役の自然な演技は好きです)との交流も良いです。彼の大切にしていた縫いぐるみエピソードもキッチリ回収してくれていますね。そこでお約束的に母子の感動の再会がないところも良いです。
そしてラストシーン(激しくネタバレですが)、ゾンビから逃れたニコラス、イシャニ、ジャベドの3人が、軍の攻撃によって地下に閉じ込められてしまう。バッドエンドなのか、それともかつてジャベドが教えてくれた伝説の如く、3人は(魂の世界でかも知れませんが)そこを抜けだし幸福になれるのか?単純に悲劇的な終わり方をすることなく纏めたあたりも好感が持てました。
B級ホラーと言えばそうなのかも知れませんが、昨今数多製作されるゾンビ作品の中では良心的な佳作と思われ7点献上します。