1.本作で描かれるようにオーストラリアからも多数の兵士が参加しオスマン帝国と戦ったガリポリの戦い。
第一次世界大戦の激戦となり両軍に多数の戦死者が出たという、この戦いとその後のドラマを描いた実話をベースとした作品。
何よりも、ラッセル・クロウが主演と初監督を兼任した作品ということで見ました。
過去にはオーストラリア出身のピーター・ウィアーもこの戦いを基にした映画を撮っていますが、
オーストラリアだけでなく、クロウの母国ニュージーランドも参加し多くの犠牲が出たこの戦いのドラマを
初監督作に選んだことは彼にとっては大きな意味があったのでしょう。
この戦いの背景にある事情や、登場する各国の関係に分かりづらい部分があるのですが、
この戦いで息子を失い、それが元で妻も失ったオーストラリア人の男と、
同じくこの戦いで夫を失ったオスマン人の女との、控え目に挿入される互いの痛みが分かる2人のドラマなど、
映画としては分かりづらい面がそれ程気にならない作りとなっています。
美しい風景も、人が殺し合うシーンも、1つ1つのシーンが丁寧に作られていると感じます。
終始悲しみと苦悩の表情を浮かべるクロウに、美しく凛とした強さを感じさせるオルガ・キュリレンコもまた好演でした。
登場する誰もが心に傷を負っている作品にあって、宿屋の1人息子のまだあどけなさを感じさせる存在も良かった。