1.《ネタバレ》 アニメ版は見たことがない。チケットカウンターで「ここさけ20:45からです」と言われてそういう略称だったのかと思った。
ここさけ初心者として率直に書くと、意外にも普通に感動的なお話だった。若年者の心情に密着し過ぎて部外者には共感しづらいのではと思っていたが、実際は対象年齢以上にも広く受け入れられそうな普遍性が感じられる。また殊更に人の暗黒面を見せつけるタイプのものでもなく、人間の善性を信頼した物語のようで安心させられる。
なんで突然ミュージカル?とは一応思うわけだが実際やれば当然感動的で、特に2つの旋律にそれぞれの言葉を乗せて重ねる趣向は非常によかった。恋愛感情も絡んで来るがあまり生々しくもなく、物語を進める原動力になった後は一定の整理をつけて未来につなぐ形になっていたのは清々しい。最後に観客みんなが笑顔になるようなものにしたい、というような感じのことを劇中人物が言っていたのは正解である。
全体的には都合良すぎのようでもあり、また細かく見れば説明不足だとか意味不明に思われるところもなくはなかったが、あまり気にならない範囲でうまくまとめてあるようには見えた。アニメ版と雰囲気などの違いがあるかは後で確認したい。
ほかキャストもなかなかいい感じで、芳根京子という人は高校生というには少し年齢が上に見えたが、いかにもアニメ少女っぽい挙動とか“つぶらな瞳”感のある目などはよかった。また石井杏奈という人も親しみやすい顔を見せており、ダンスのような場面も一応入れてある。端役ながら見覚えのある金澤美穂・萩原みのりといった人々が出ていたのも個人的に嬉しい。また成瀬順の幼少時の子役(平尾菜々花)が上手すぎて、父親が呪いの言葉を吐きたくなる気分が大変よくわかった。父親にまで共感してしまった。